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小説

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その3

その3
夏美



執行部会は、和食レストランの畳の一室で開かれた

「ああ、みんな、悪いわね。集まってもらっちゃって…」

一番最後に到着した真澄は、にこにこしながら靴を脱いで、席に着いたわ

かなり上機嫌だ

さあ、どんな話に持って行くのか…


...


「じゃあ、真澄先輩、さっそく用件をお願いします」

「ええ、じゃあね。もう、みんなの耳には入ってるだろうけでさ、神奈川の波沢丈子が墨東を出た岩本真樹子と手を携えたわ。それ受けて、県外の他の親荒子派が一気にまとまる流れに入ってる。人伝で県外の何人かと取持ちされたんで、先日、ひと通り回ってきたわ」

真澄の話しっぷりはいつもより穏やかで、ちょっと拍子抜けした

「…彼女たちの思いは、荒子の赤塗り拡大路線に対する不満に尽きたわ。それは、私たちの想像をはるかに超えてた。考えてみれば、そうよね。県外のみんなは、待望の荒子体制誕生に身を震わせていたんだもの」

私たち4人は、相槌さえ打たず、ただ黙って真澄の話に耳を傾けたわ

「それが、荒子が総長になった途端、彼女たちの目からはトーンダウンした。これは否めないと思うのよ。それほど熱くなっていたわけだから」

これは真澄の言うとおりだ

私たち南玉内部は、荒子が総長に就いたことで過度のイケイケ路線を危惧するあまり、内部融和にばかり気をとられていたよ



...



「それでね、私も今回気付いたんだけど、この都県境も組織に属さない女たちが、熱く猛っていたのよね。その受け皿が墨東会系の赤隊だったんだけど、この前、岩本がその勢力をそっくり連れて墨東を抜けた。この動きが、県外の後続を期してる連中からは、絶賛されたみたいなんだよ」

いやあ、私たちが気が付かないうちにそこまでとは…

灯台下暗しってとこか

「私たちとしては、紅丸さんの赤塗りの精神を汲んだ都県境最大グループだからって、足元を見失っていたんじゃないかと思うのよ。OGの一人、しかも荒子体制樹立を推進してきた私としても、それは真に反省してる」

真澄の言うことは至極まっとうで、異論はないんだけど

なんか予想と違う…




更新日:2019-08-21 18:13:51