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その1

その1
砂垣



”優子ー!大丈夫、あなた…?”

”優子さん、ご苦労様です!”

旧赤隊時代から一緒に残った仲間、それにそれ以降加わったメンバー8人に囲まれた優子は、まだ意識は呆然としているようだ

戦い終えた優子の額と首当たりに、後輩がタオルで汗を拭っている

まあ、何ともな風景だ

あっ、目が合った…

「…砂垣さん」

優子の目はまだどんよりしてるな

精も根も尽き果てたってところだろうよ


...



だが、優子は俺の目をじっと見ながら、ゆっくりと立ち上がろうとしてる

「ああ、無理しないでください…」

優子はちょっとふらついて、後輩二人にもたれかかった

「大丈夫よ…」

どうやら俺の方に歩いてくるみたいだ

そして優子は俺の正面に立った

「優子、よく頑張ったなあ…」

まずは自然とこの言葉が出たわ

「…ゴメンね。やっぱり負けちゃったわ」

「いや、ここまでやれれば十分さ。大したもんだよ。びっくりした」

ここで女性メンバーが笑みを浮かべて拍手していた

「そうよ、優子が意地を見せてくれて、私たち、溜飲が下がったわ。ありがとうね」

「うん、私もサッパリしたわ。全力出せたし…。でも、向こうは謝罪とか要求してくるよね…」

優子は下を向いてちょっとしょげてるわ


...


「とにかくよう、この後バグジーが戦った結果でな。奴らとの決着はついていないんだ。まずは一緒にヤツを見守ろうぜ、優子…」

優子はほとんど聞こえないくらいの声で、「うん」と言って頷いてたよ

すると、そこへバグジーがやってきた

「おお、バグジー…!」

「三島…、まさかあれほどやれるとは思わなかった。立派だったぞ」

「柴崎さん…。あなたのおかげだわ。感謝してる。ありがとう…」

そう言った優子はすでに目頭を熱くしている様子だった

「お前の戦いを無駄にはしない。じゃあ、行ってくる…」

「頼むぞ、バグジー」

俺はバグジーの両肩に両の手を当てがって激励した

で…、思わず二人は正面を向き合って、見詰め合う態勢になってたわ

数秒間はそのままだったよ

コイツ、なんて目をしてやがるんだ


...


「全力を尽くそう…」

だが、こう口にした時の表情は、もう戦闘モードに入っていたようだった

「バグジーさん、頑張ってー!」

「バグジー、遠慮なんか無用だ。津波をノックアウトしてくれよ!」

”仲間”から激励の声を受けながら、ヤツは中央へ向かった

みんなは、もうバグジーを単なる雇われとして見ていない

そうだよ…、仲間だ

お前は優子という”仲間”の託した。

今度は俺達、お前にすべてを託す!

頼むぞ…

そしてバグジーがゆっくりと向かうすぐ先には、津波祥子がすでに待ち構えていた…




更新日:2019-08-19 19:51:26

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