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その3

その3
ケイコ



私は亀山さんに、かなり明確なメッセージを送った

彼女軍団以外の行為は、卑劣な言いがかりであって、決して受け入れられないと強調した

私の話を聞き終えた頃には、亀山さんの額からは汗が収まった感じだった

そして、少しうつむき加減の彼女から言葉が返ってきた


...



「横田さん…、まず聞きたいんだけど、その”卑劣な側”を目の前にしたら、なんて言うつもりなの?その連中には…」

「うん…。ふざけんな、私のこと気に入らないんだったら、一人で来い!その時来い!つるんで雪崩てんじゃねえよって…、まあ、そんなとこかな…」

「じゃあ、今、私に言いなさいよ!あなた、とんだ勘違いしてるわよ。私は卑劣な言いがかりの方なんだってば!」

は…?

「私が中央公園の計画に加わったのは、南部君からあなたを引き離したいってことより、あなたのこと、懲らしめたかったからなのよ…。だから、私は他の9人とは違う。あなたが許さない連中と一緒なんだって!どうなのよ?それでも私が街で南部君に声かけられて平気なの、あなた?おかしいわよ、それじゃあ。矛盾だよ!」 

「…」

私、出すべき声が探せなかったわ、さすがに…


...



だが、とりあえず、もう少しよく聞いてみよう…

「…あのさ、なら、あなたがテツヤのことより私の所業がそもそも我慢ならないって、そこに至った経緯を教えてくれかな?」

亀山さんは眼鏡の奥から目をきりっとさせて、早口で話し始めた…

「…あなたのことはこの春以来、頻繁に耳に入ってきてたわ。それこそ、うんざりってほどね。学校でも、塾でも、通学途中のバスの中でも…。挙句は、家の夕食時におばあちゃんからも、あなたの”絶賛”を聞かされたわよ!」

亀山さん…、ウンザリしてるのは、聞く側のあなただけじゃないんだよ

当事者の私もね、とことんウンザリなんだよ、そういうの…

これ、わかってくれって…

「…何でもおじいさんが補聴器を落としたの、拾ってあげた現場を見かけたって。目が悪いらしく、困っていた。そこへあなたが愛の手を差し伸べてたってことでしょ。そしたら、一緒だった老人クラブの仲間が言ってたって。あの子は”例の”東京の飛び地に住んる女の子で、小学校の時にひったくりを取っ捕まえた勇敢な子なのよってさ…」

しかし…、どうでもいいけど、ここに来て私のこの手の話、一種の都市伝説でしょうが、これじゃ…

たしかに、そんなことしたことあったなって記憶はあるけど…


...



「選抜駅伝でのあなたも、私の周りで評判だったわ。勉強してても、あなたの挙動がブンブン飛び回るハエの羽音みたいに耳に飛びこんでくるのよ。教科書や辞書や問題集に目を通してても、あなたの話題ばっかりで、集中できやしなかったわ!それで今じゃあ、あの南玉連合を救ったヒーローだかヒロインだかじゃん」

私は彼女の言葉に圧倒されて、ただ、聞き役に甘んじるだけだった

この際、最後まで吐き出してくれ、亀山さん

そんな心持ちだったよ、私…

案の定、亀山さんは止まらなかった

「…中1の私の弟なんか、アンタのこと、テレビのアイドルのように隠し撮りした写真へキスしてるのよ!なんなよ、これって…。そういうことなのよ、あなたのことは、私にとっては。だから、私は卑しい側に魂を売った。南部君のことはこじつけよ、結局のところ。他の子みたいに、彼とイチャイチャできてた訳でもないし!」

うわあ…、そこまでかよ、勘弁してくれ…

これが率直な思いだわ

聞いてるだけでゲンナリするよ、亀山さん…

「どうなのよ!ここまで聞いて、それでも最初のものわかりの良いセリフ、あたしに吐けるの?答えて!」

ああ…、まあちょっと待ってよ

かなりしんどい”答弁”になる訳だしさ…




更新日:2019-08-13 21:12:54