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その4

その4
砂垣



さあ、今度はバグジーからどんな話が出るんだ…

「…俺を諸星に繋いだのは、大打なんだ。奴はフリーランサーの間じゃ、顔だったしな。以前から奴の中期プログラムでは、必須となるヒットマンってことで、アプローチがあってな。無論、大打は”それ”の名言は避けていたが…」

「お前、”それ”は、断ったのか?」

「さっきのお前じゃないが、吐き気がするさ。大打はあの若さで死の商人さながらだ。あまりきれいごとは言いたくないけど、自分で引いた一線だけは意地でも守りたい。そんなもんだな…」

バグジーはちょっと切ない表情だったよ

「その辺でうろついてる、エネルギーの吐き場が見つからない10代の”子供”を”スカウト”してだ、そいつらが魂と引き換えに少刑行きを呑む。その実際の仕事を執行するヒットマンだぞ。業火で焼かれる所業ってもんだろ」

感情はほとんど表に出さないコイツの、ここまで怒りを露わにした顔って初めて見たわ

だが、麻衣の名はまだ出てこない…


...



そして、次にバグジーの口から出た言葉は、耳を疑うものだった

「…砂垣には明かさないつもりだったが、俺は性同一性障害を持っている…」

「???」

なんだってー?

今日のバグジーにはいろいろ驚かされたが、これにはぶっ飛んだわ…

思考停止に陥ったよ


...



「じゃあ、お前は戸籍上は男でも、ホントは女なのか?」

「理屈はな。だが、俺の場合は少々混み入っててよう…。女は女でも、猛ってるんだ。許せないものが目の前に寄ってくりゃ、叩き潰さずにはいられないんだ。私の中の女は凶暴極まりない、ケモノなんだよ。で、今はこう言う生き方をしている…」

まさしくじゃん…、これって

麻衣と同類ってことだわ

もうついていけないわ、こいつらの感覚には…


...



「それを麻衣は、初対面で感じ取りやがった。ヤツは勘が鋭いからとか言っていたが、実のところは、その人間の本質が見抜けるってことだろう。当然、相手の心の中は手に取るように透けて見えるはずだ」

これは納得だ…

これまで麻衣は、俺の胸の内をほとんど正確に読み当てていたからな

「…幼い頃からそんな感性を持ちながら、私と一緒で、心の奥底に蠢くもう一つの自分と共生してきたんだろう。アイツは生ある限り、それを貫くつもりだと思う。その先にあるものは、通常の常識に照らし合わせれば、危険極まりないということに他ならない。先日の廃車プールで新村に話したことは、”そこ”さ」

何ともわかりやすい説明だな

理解不能な連中だが、麻衣もバグジーも自分自身をしっかり捉えてるんだな

妙に感心しちまったよ、こん時の俺




更新日:2019-08-13 17:08:40