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その3

その3
砂垣



「俺の見たところじゃ、星流会には親筋の東龍会が巧みに、”それ”をいとわないグループを押し込んでる…」

「おい、それって、大打らの一派ってことか?」

「そうだ。今は他と競わせて、大打らの天井具合を試してる段階だが、あの腐れ連中なら、最後のハードルはそう遠くない時期に超えちまうだろうよ。そうなりゃ、そこで、”この先”が確定するってことだよ。わかるか?砂垣…」

「しかし…、殺しとかって、そんなこと簡単に請け負っちまったら、やくざそのものだろう。やくざ組織はありがたいことだろうが、請け負う方からすれば、いっそ極道になっちまった方がいいだろうってことになるぜ。損得で言えば、損だろうが、そんなの」

「…砂垣、じゃあ聞くぞ。仮に殺しとか重犯罪をどうせやらかすんなら、未成年の時と成人に達した以降とじゃ、どっち得だ?」

「うっ…」

何と言うことだ!

おれは一瞬、言葉を失ったよ

ふん、そういうことかよ…



...




「フフ…、少年刑務所に”滞在”してた俺の口からってのも変だが、最高に刑の重い殺人罪を犯すんなら、少年法が適用されるうちがお得ってことになる。あくまで、目先の損得勘定で言えばだがな。でもな、それって正確には、お得なのは殺しをやる本人ってことになるだろ」

うん、その通りだな…

「でだ…、愚連隊の位置づけになる連中の、お前みたいなトップの立場からすればどうだろう。ドライに、したたかに、中長期の視野で損得勘定を弾けば、こういうことになると思うんだ…」

バグジーの”解説”は極めて理路整然としていた

「…”それ”が、ヤクザ組織に最も感謝されるオーダーなら、”それ”を実際にこなす未成年のタマ数が多ければ多いほど、実入りも売れる恩も増える。さらに、ライバルグループにも差がつけられるって算段だ」

俺なんぞが言えた義理じゃないが、ここまでは絶対ダメだろ


...



「…そうなりゃ、高い報酬をぶら下げてタマ数集めも独占できるって訳で、ここに好循環が生まれる。これが、当面の成功シュミレーションってことになるだろう」

バグジーの”当面”って言葉が気になった

「…セ-ルストークは、少年法で守られるうちに、お得なこの国のシステムを活用しませんかだ。…最小限の犠牲で、将来は箔も付きますよってな。大打あたりなら、このくらいの営業文句は、何のためらいもなく割切るだろうさ」

うわあ…、もう気分が悪くなってきたわ…

「…自分は傷つかず、やくざもんとガキの両方から感謝されるこのシステムで、どんどん太くなっていけば、中期的には、どうにでも身が処せる。選択肢はズラリと目の前に揃う。”当面”の後は、要するに何でもアリだ」

「なるほどとは思うが、さすがにへどが出そうだぜ」

「だが、そのへどが出る礎を築いたのは、お前自身だってことを忘れるな」

「わかった…」

俺は素直にそう答えたよ


...



「そこでだ、砂垣…。その延長で、本郷麻衣なんだが…」

バグジーは煙草に火をつけながら、ぽつりと言ったよ

今の話の流れで麻衣のことに及ぶのか…

漠然とは想像がつくだけに、なんか気が重い



更新日:2019-08-13 17:04:57