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その3

その3
アキラ



「タクヤはアキラ抜きで繕ったらしい。おそらく、残りのメンバーでデビューになるだろ。ふざけやがって!石田さんにぶちまけてぶっ潰すか、どうだ?やるか?」

「あの…、いろいろ引きずる問題もあるんで、今は…、」

一瞬、”全部”吐き出したいくらいの気持ちに駆られた

「そうか…。でも、あきらめるな、こんなんで」

「ありがとう、赤子さん。でも、オレ、しばらく頭冷やさなくちゃ。そうしないと、やっぱり、オレ…」

「わかった。焦ることないさ。じっくりいこうや、な。石田さんには、機会みて私から説明しとくから。それなりに。」

こんな穏やかな口調の赤子さん、初めてだ

ダメだ、涙、止まらない

...


「あの子にはちゃんと話したのか?あ、ひょっとして、そこにいるとかか…」

あの子には、何も話してないんだ、会えないんだよ…

しっかり謝りたいし、あの子のこと心配なのに…、会えないんだ

「はは、邪魔しちゃ悪いか。…、とにかく、タクヤにはキッチリ、いずれ絶対だ。私らの業界は、あんなクサレに大手ふらせるほど、安っぽくはない」

「気持ち、整理ついたら連絡します。オレ、ほんとに感謝してる、ほんとに…」

赤子さんは、「待ってるぞ」「元気だぞ!」と言ってくれた


...


電話を切るちょっと前、赤子さんはつぶやき気味に言ってた

「でも、なんでアタシに連絡なのかな?用件言ったら、すぐ切っちゃったし…、タクヤと付き合ってるのにチクリとか、やっぱり不自然だし。ガセとも思ったんだけど…」

赤子さんへのリークは、麻衣が手をまわしたものだ

タクヤを引っ張り込んでおきながらも、平気でこんな細工までする

どこまで恐ろしい女なんだ、アイツ





更新日:2019-08-12 19:22:55

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