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小説

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不幸と苦しみ

それは、アルディスが、不幸というものから、宝を、底力を、そして、ドロドロから伸びる強さを一つも得ないで、ユリジェスという貴族と共に王室を逃亡して幸せになることで物語が終わってしまうからなのです。

もし私がアルディスならば、牢獄の中で、自分自身ととことん向き合ったでしょう。どうしてこんな目にあうのか、そしてつかんだでしょう。そうだ、どんな不幸の中でも輝き続けるものがある、それは、自分の生き方だと。人生について考えることだと。

ひとは、苦しい目にあうと、自然に哲学者になるものだと私は思っています。自分を哲学者と思っていなくても、何も書いていなくても、不幸と向き合ったひとは立派な哲学者です。
アルディスが三年間何をしていたかというと、ユリジェスのことを思いだしたり、牢番や番兵たちの冗談や世間話を聞いて心をなぐさめていただけなのです。

アルディスは結局楽な方に流れ、何者にもなれはしなかったのです。

更新日:2019-08-08 22:15:01