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小説

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その6

その7
アキラ



麻衣はバスタオルで、短めのやや茶ばんだ色の髪を、キュッキュッしてる

「私のこと、そんな目で見てくれてうれしいよ。マネキンみたいだったもんな、あんたの目」

「…」

「今、アンタが私に何しても、誰も呼ばないよ。気づかれないようにしててやるよ。やりたいように、やってみなよ」

オレはギリギリだった

こいつは、別に誘ってはいない、試してるだけだ

なら、まんまと乗ってしまってはどうなのか

15、6の小娘でも、こいつは鬼みたいな女だ

また何かを企んでいても不思議じゃない

でも、このままじゃ収まらない…

すると、麻衣はカウンターチェアに掛けて、足を組んだ

短パンで露わになっている太ももを重ねて、やや小声で言った

「こんなのどうだ?私はアンタの大事なもん、みんな奪った。憎いよな、普通…、」

ふと感じたが、この麻衣は、いつも視線がまっすぐだ

相手がだれであろうと…、ぶつかってくる、真正面から

はらわた煮えくり返るくらいのヤツだが、これは認める

「実は、アレやめる気なんだ。死んだ相馬会長の条件でもあるし。フフ、おけいより量やってるから、半端じゃないだろうけどな。のたうちまわると思うよ。どうよ?そんな私の姿、観たくないか?]

「観たいね、是非」

反射的にオレは答えた

コイツがのたうって苦しむ姿眺めるのも、一興だ

場合によっちゃ、そこで”やって”やればいい

「じゃあ、さっき控えた電話番号に連絡する。その局面きたらさ。近々なのは間違いないよ。まあ、その前にサツ行きの展開になるかもしれないけど」

麻衣の目は、なんでこんななんだよ

やっぱり、今日はこのまま帰ろう

「もう帰っていいか?」

「ああ。電話、絶対出ろよ。こいよ、それで」

「わかった」


...


なにか、一秒でも早くココを出たかった

音の出ないギターを肩に背負い、オレは悪夢の一室から退散した

扉の外の空気は、いつになく特別な感じがする

真夏ののどかな晴天の日曜日、時間は10時過ぎか…

...


表通りの坂道に出ると、シャボン玉を吹きながら坂を上ってくる親子とすれ違った

”シャボン玉とんだ、屋根まで飛んだ…”

若い母親と女の子が、手をつないで歌ってる

抜けるような青い空に次々、風にそよがれていくシャボン玉

屋根まで飛んでいって、壊れて消えるシャボン玉…

今さらながらだが、淡く、はかないんだな…、シャボン玉の光って…

オレはしばらくの時間、足を止めて見上げていた



更新日:2019-08-08 22:11:40