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 私の話は別に誰もが通った道なのですから説明の必要は多分、無いと思います。其れでも今も続くサジタリア皇家の悲劇を知るには重要なのかも知れません。其れは私が産まれる事を知ってサジタリア家も分家のアンドロメダル家の所迄駆け付ける程なのです。

『何だって、ゴラオ皇女殿下が……そりゃあ楽しみじゃないか!』

『だからイデオ、口の利き方を学べって言ってるだろうが!』

『良いって良いって、姉貴。そう思うだろ、ブレン?』

『僕を巻き込まないで下さい、兄上』

『ブレンも困っているじゃないか……』

『言っておくが、三人共』

 もう直ぐ出産される私を前にして期待を膨らませながら豪華な隣室で待っている三人の前に皇帝陛下其の人が駆け付けます。彼も私の出産を楽しみにしております……否、違いますね。

『言っておくが、此れからお前達三人の競争相手が誕生する。今迄のような垂切った態度を取っていては直ぐにでも皇位継承権を剥奪するぞ!』

『やはりそう思われますか、父上は!』

『僕の、ライバル?』

『待て待て、親父!』

『何だ、其の口の利き方は……イデオおお!』

『イチデエエエナア、歯が折れたじゃないか……絶対に折れたぞ。もう親父なんか知らん!』

『十四にも成って未だ幼児のように振舞って……』

『待って下さい、父上。兄上は骨肉の争いを誰よりも憎い為に其のような発言をしております。其れは言葉が成っていないというマイナスを払拭する慈悲深い心を持つ事の表れだと受け止めて然るべきなのです!』

『皇帝を目指す者としては其れで正しいのはわかる、エルガ。だが、正しいだけでは何も救えない。二人とも知るように我が最愛の妻は現を抜かして倒れた。妻でさえも隙在ればあのように成る……余は警告しておるのだ、今度生まれてくる子供は必ずやお前達を不幸へと誘う事も!』

『そ、そんな事は考え過ぎで在ります……父上』

『でも可能性在るわ』

『姉貴は何を言ってるんだ!』

『イデオだってわかるでしょ、代々私達サジタリア家とアンドロメダル家は対立する運命に在るって事が。其れはアドヴェント城の正面入り口踊り場に建てられた二つの銅像が其々対立を意味するように向けられている事からも其れは避けて通れないわ!』

『そ、そう言うなら正しいかも知れません』

『正しくない、そんなの誤解だ。大体、ゴラオさんは優しい人なんだ。きっとゴラオさんと同じ優しさの詰まった女の子に決まって……』

『ねえ、イデオ?』

『其れは初耳だな、エルガとブレンには!』

『え、女の子?』

『何で其れを知っているのよ、イデオ!』

『そ、其れ……あ、泣き声!』

 そして私は誕生します。四人が駆け付けた時、其々の性格と思惑を表したようなコメントを呟いたのを当時の母は伝えております。

『良い、リーン。あの中で陛下を信じては成りません。あの方は貴女の宿る本物の金眼を見て危機感と同様に隠れた野心を隠しません。きっと貴女を利用するだけして命を取りに行きます!』

『じゃあエルガ、イデオ、ブレンは?』

『エルガは陛下の忠実なる僕として貴女の命を何度も狙うでしょう。実際、皇位継承順位に対して危機感を抱いております。決して近付いては成りません。イデオに関しては特に何も在りません。ですが、ブレン……彼は決して悪い子では在りません。あの子ならば貴女の良き理解者として立ってくれるでしょう。でも禁物です、私の評は当てに成りません』

『じゃあ何で私に伝えましたか、母上』

『其れは貴女が誰よりも心優しく過保護に覆われているのですわ』

 母の言葉は大方外れました。母も私と同じく人を見る眼が優し過ぎます。其れが却って隠れた悪意を持った人間を見抜けなかったのです。其れでも母の言葉を今でも信じる私が居るのです。其れは大方外れても僅かに当てた事も在るのです……






















「いやあ、毎日こうして此奴を殴るのは楽しいや!」

「楽しく在りません、ヴェイダー。とても痛いです、其れに髪を引っ張らないで下さい……」其れは暴力の過保護に覆われているという事なのです--嬉しくは在りませんが、彼と一緒に居ると心地良さを感じます!

更新日:2019-08-23 22:06:35

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