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エンプレスデイ・マーブルブレイク

 ハーデス元帥との戦いで私は持てる全ての力を駆使して彼を総攻撃します……「--フェイクザワールド……圧し潰れなさい!」そう、溢れ出んばかりの水を解放して!

「重たい……が、未だ俺の行動は終わらん!」一瞬にして最大八回行動を繰り出して最後に通常の九連発で私を沈黙させます。「此れで終わりだ……フフフ、ハーハッハッハッハ!」

「殿下が、まるで勝負に成ってないわ!」

「其れ以上近付くな、ジェナ。吸い上げられるぞ!」

「クソウ、みんな言ってる……殿下は自分の蛇口を壊してしまったって!」

 未だよ、未だ私は……でも、何で力が止まらないの? 如何すれば止められるの? 仰向けに倒れながら私は異常事態をやっと理解しました!

「フフフフ、フハハハハハ……此れで作戦通り発動する。遊びは終わりだ。さあ、帰るとするかあ」

「逃がしは……あれ?」自分が透けて見えるのが不気味に感じるように成ります。「視力が無いのに、何で見える? いえ、さっき聴力を失った筈なのに、返事出来ました? いいえ、私の体が、そして破壊した建物が……消えている?」私は自分のやった事を全然理解しません。

「さらばだ、小娘。次に会う時は滅んだ世界で宜しく頼むぜえ……元女帝さんよお!」

 ハーデス元帥はグランドマスターに戻ります。一方の私は、私は? 私は? あれ、何で、力が止まりません。こ、此れが若しかして……『マーブルブレイク』? ねえ、ねえ、誰か、教えて下さい!

「わ、私は……私のせいで、そんな事は!」ヴェイラさんが私を助ける為に近付こうと……「此の虚脱感、駄目だ!」ですが、気合では如何する事も出来ずに跪いてしまいます。「自分が自分でなくなる感覚、近付く事も出来ないなんて!」

「いや、僕達の体はもう……避難指示に従うべき、だったのか!」

「指一本、動かせ、ない。此れが『マーブルブレイク』な、なの?」

「去年とは大違い、過ぎ、る!」

 みんな、みんなが、吸い上げられてゆく。後少しでみんなが透明に成って消えて行くの? 私の、私のせいで。そ、そんなの、そんなの嫌です。私は、私はこんな事の為に力を解放したのでは在りませんのに。何の為に私は物語の本来或るべき姿を否定して迄此の道を歩んだのですか? 私は、私は--駄目、力が更に暴走を起こしてロープ一帯を一気に吸い上げてしまう……もう、私は、私はああ!

「させるかあああああ!」其の時、銀の世界が広がりました。「やっぱりやらかしたな……何処迄俺を苛立たせば気が済むんだ。決めた、其処でじっとして居ろ……今から心臓を抉ってやるから覚悟しな!」

 其の声、そして此の能力……「ヴェ、ヴェイダー……来たのですね!」貴方が時を止めて進むのですね--でも、両眼から溢れんばかりに血が流れています……其れ以上やれば失明は避けられません!

「たったの一秒ずつ止める毎に、俺はどっかの刺青野郎みたいに盲目に成って行くんか? どっかの男好きの針使いみたいに眼が見えなく成るんか?」止めて下さい、もう私に構わないで下さい。「だがな、てめえが俺を怒らせるのがいけないんだぞ。なので其処でじっとしていろよ!」

 何て単純で理解出来ない理由ですか--そんな理由一つで人を殺しに来るヴェイダー……やっぱり貴方は悪なのですね!

「良し、此処迄近付いた。死ねええ!」

 私は彼の身勝手な私刑を受け入れます--有難う御座います、ヴェイダー・クロノス……此れでみんなが助かるなら私は喜んで命を捨てます!

 心臓に食い込む後少しで……「良くやった、ヴェイダー!」アマナイさんが利き手でヴェイダーの心臓を直接握って彼を仮死状態にすると素早く私の心臓にも同様の処置を下しました!

「え、何が起こったんだ!」

「ア、マナイさんも!」

「というか、あの馬鹿……生きていたんならちゃんと私に報せなさいよおお!」

「フッ……」クロームさんは少し微笑みます。

 良かった、最悪の事態を回避出来まして--ですが、此れは気休めだと思います。

更新日:2019-09-07 18:37:24

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