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 さて、『サンドロール村』に到着したヴェイダーは早速何か独り言を語り始めた。

「フムフム……不審者に思われる事を覚悟で喋りまくるかあ。何処に居やがる、俺は此処迄やって来たぞお!」

「あのあんちゃんは何処か病気でも罹っているんかのう?」「まあまあ、其れだけ此処が呑気な村って事だよ」「去年も確か凄い騒動に成ったな。軍隊の方々が一斉に乗り込んでのう」「あの時は凄く、大変じゃったなあ」「まあ、外から来た人はそんな感じじゃあ」村人達はどの村よりも呑気に外の人間への警戒心を抱かない様子--良いのか、そんな雰囲気で!

 とはいえ、ヴェイダーが奇行をした意味は此の村に例の誰かが紛れ込んでいると思い込んだのだろう。だが、そんな人間が何処に居るというのか? 余り奇怪な行動に出るのは不審な眼で見られる事間違いなしだろうな。

 其れでもヴェイダーは嘗て死に掛けたあの丘迄進んで行く。其処に何かの手掛かりが在ると信じて……「ケッ、居ねえなあ。そう都合良く出て来る筈がないって言いたいのかよ」踵を返して丘から離れようとした時--気配を消して現れる影有り!

「全く、不審者に成る事も辞さない男だ」そう、私が現れる。「だが、あの判断は正しい。間違いだとすれば此の世が全て貴様の思う通りに動くと勘違いしている事だ」

「出て来たなあ」振り返り、私に近付いて来る用心深いヴェイダー。「いきなり居合抜きで頸動脈を斬ったりしないだろうなあ?」

「其のつもりだったら来た時点で不意打ちを遂行するだろう。相変わらず嫌味を言わないと病気に成ると勘違いするようだな」

「何を言うか、俺以外の奴は何をされても文句は言えないんだよ……」と物語の主人公が此の男と思ったら絶対に読んだだけで気分を害しそうと感じながらも奴の右掌に束ねた見取り図を手渡す私。

「其れは私が警備を掻い潜りながら何とか盗んだ見取り図だ。但し、此れには実際とは違う箇所が記されて在るから過信は禁物だ」

「ヘッ、つまりてめえが利き手で手渡したけど実際は右手で居合をするみたいに……か?」

「論点がずれている。そして用法も間違っている。だが、気を付けるんだぞ。トサガナは恐らく『プラネイト教会』と手を組んでいる」

「いきなり新単語を出すな……話が追い付けんだろうが!」

「私としてはそいつ等が何をしたいのか、其れから言ってる事が何なのかを幾ら聞いても理解が追い付けない。まるでブラックホールに呑み込まれる光のように……脱出出来ない程追い付けないのだ」

「魔科学用語を使うな、他の世界線でやっと……わかったぞ。ンでそいつ等はどんな奴等なのだ?」

「一言で表すなら『白い装束を着た連中』だろう」

「チイ、あの意味不明な連中か……」既に遭遇していたな--其れでも何がしたいか理解が追い付けん。

「んでそいつ等はバルマーの糞野郎と手を組んでいるのか?」

「いや、バルマリィの所にそいつ等の影はない。何度も言うように何がしたいのか理解が追い付かない……とだけ伝えておこう」

 そうして私は『エッジフィールズ』方面に向かうように其の場から立ち去って行く……「そういや、笠野郎が向かった方向で思い出したが『サンドロールパン』を作るには凶悪モンスター『デブータ』が必要だったな」其れについては余裕が在ればおまけで語られるだろう--余裕が在ったらの話では或る、が。

更新日:2019-09-07 16:40:47

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