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 其の夜、『博物館』のと在る窓を破って侵入する影が在り……「出たな、お金の為ええ……ウゲエ、はげえ!」待ち構えていた約二名のビースティアンは覆面をしたやや細身の男の打撃一発で次々と昏倒--其の男は追手が来ないと感じたのか覆面を脱いで顔を晒す。

「俺は盗賊だが、不必要な殺戮を好まない。取り敢えず警備御苦労さん……後は不眠症を治して於けよ」と念の為に二人の警備員の口に睡眠薬を飲ませたエイガー。「フウ、久々の多忙な日々だからな。眠れない時の為に持参していた睡眠薬を持っていて良かったぜ。さあ、泥棒の始まりだぜ!」

 エイガーが怪盗紳士のように動き出そうとしたら突然、ホワイトバッファローウーマンボイスが響き渡る……「何て音だ、美人の美しい音色じゃねえのかよ!」其れは少し金切り音が混ざった音色でエイガーは少しだけ鳥肌を立たせてしまう--だが、其処はプロ……直ぐに平常心に戻って体勢を立て直したエイガー。

 そんな彼の前に次々と白く実体感のないホワイトバッファローが次々とエイガーの前に姿を現す。其の群れは一斉にたった一人だけのエイガーに襲い掛かる……「まあ、予想はしていたから侵入前に他の連中にも合図を送ったんだがな……だが、今は俺だけだ!」手持ちの約五十以上も在るジェムダークで例え魔法を覚えるような事が在っても乗り切って行くエイガー--そう言えば物理攻撃は幽体相手には効果ないし、後はエイガーが闇属性の技を持っていないのもかなり影響しているね。

「--ジェムは一度使うと二度と還らないしなあ……魔法は苦手だが、魔術回路に記された以上は使うぜ。そんじゃあ、ダークエッジ!」

 とはいえ、十二人の中では最もエネルギーが少ない彼にとって其れは余りにも自転車操業の如し物--おにぎりの数が幾ら在っても足りない程にエイガーには辛い戦いが繰り広げられる。


 二分後……「御待たあ?」ミレーニアンさんが合流--此れで少しはエイガーの負担は軽減された。

「やはりヒューマニーの奴がホワイトバッファローを投入した……お前の言う通りだ!」

「あの子はこうゆう事には抜かりないのよん」

「俺だけじゃあやり辛い。魔法使いが居てくれて助かるぜ!」

「如何致しましてん」

 其れからエイガーとミレーニアンさんはミレーニアンさんが出て来た方角より反対側の方へと足を運んで行く……「駄目だ、三人同時に乗っからないと開かない仕組みだぜ」流石のエイガーも一人で三人分の重みは無理ね--という訳でもう一人を探すしかない。

「ルドルフの言う通りに成ったわねん。あたいも此れだけは予想出来なかったわん」

「とすればルーインちゃんと早く合流しないとな……あいつが居るだけでホワイトバッファロー対策はほぼ盤石に成るしなあ」

 其れから二分後……「フウ、やっと登ったよ!」息が荒いあたしはピンチ力のない自分の指を後悔しながらもエイガーやミレーニアンさんと合流を果たしましたとさ。

「エルフってピンチ力が育たない物なの?」

「弓で獲物を狩る時のホールド力は凄いんだけど……其れ以外の握力は他の種族に劣るの。特にピンチ力は痛い程だよ」

「まあルーインちゃんはエレメンタルソードを使って攀じ登れば大丈夫だろ? 其れで良いじゃないか、無理してピンチ力を鍛えるなんて事しなくても」

「流石は自他共に認められるイケメンね……」こうゆう時、あいつに言わないのが嬉しさを半減しちゃうんだから--って何考えているのよ、あいつが人を褒めるなんて在っては成らないんだからね!

 そうゆう訳で三人必要な仕掛けの在る部屋に入ったあたし達は同時に踏んで仕掛けを解除。徐々に博物館内部を散策してゆく……

更新日:2019-09-06 06:58:58

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