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邪悪外伝 弱き者を継ぐ者

 ツェーンラクールに着いたあたし達……「グヘヘヘ、お前等全員死刑!」早速、ゴロツキ共が喧嘩を売りに来たよ--感覚が麻痺しているけど、ツヴァイラウンには一切襲ってくるような輩が居なかったのを思い出したよ!

「--そう言えば此処に『博物館』が在ると聞いたんだけど……ブラッディダンス!」あたし達は力付くでゴロツキ共に尋ねる。「ねえ教えないとバラバラにしちゃうよ!」

「グワアア、血だああ……闇に染まる血だああ!」

「スピードファング……さあ、拷問の時間だ。楽に死にたいなら俺達に概要を報せろ!」

「あ、あ、あれは何とか、ユ、ユキっておっさんの、許可が、ひ、ひぶよううう!」

「ポポ・ユキの事か……聞かせて貰おうか、私は賄賂を与えるからさっさと吐くんだ!」

「--賄賂ってのが少しイメージ悪いわよん……はい、ラッキーシュートッと」

「ゴロツキ共のやる気を損なわせたな、極めた事で……俺の場合は新技閃光刃を仕掛ける」

「クソウ、クソウウウ!」

 そんな風にしてまるであたし達が悪の軍団みたいに片っ端から襲い掛かるゴロツキ共を倒しつつも情報収集して行くのね--其の過程でケイオスに在る『マッカジュク』という嘗ておっさんが所属していた政治経済を勉強する所迄知る事が出来たよ。

 因みに『マッカジュク』の話は余裕の在る時にだけ紹介するね。今はやっぱポポ・ユキとかいう宇宙人フェイスのおっさんが所有するという新事実が判明した『博物館』へと足を運んだのよ……「駄目ですね、貴方がルドルフ・ウォルバーンの偽物ではないという証明をしない限りは無理です」と悪魔の証明から始める屁理屈であたし達が立ち入る事を認めない職員達。

「君達、其れはない事の証明をするような物だ。在る事の証明こそ古今東西万人に求められる物だ」

「ですからルドルフ・ウォルバーンの偽物に用は在りません」「偽物ではないという証明が在りますか?」「此の近くのマッカジュク? 其れじゃあ証明に成りません」と話が通じないも同じ--其れだとあたしがハーフエルフではないという証明をしなさいって言ってるような物だよね……頭が良いとは思えないあたしでもわかるよ。

「駄目だ、話が通じない。諦めよう……」「ああ、そうだな」とヴォルフさんはエイガーに眼で何かを伝える--其れに応じたエイガーが素早い動作で職員の一人の懐に何かを入れたよ!

「はあ、進展無しよん。じゃあ宿を探しましょうよん……」エイガーが仕込みをしたのを確認するとミレーニアンさんの合図と共にあたし達は踵を返してゆく。

「覚えときなさい、クレーマーの恐ろしさを後で思い知らせるからねええ……」とあたしなりに負け惜しみの演技をしてみた--そうする事で何処にでも居そうな厄介なクレーマーだと職員に報せる事が出来るのよね。

 あたし達が目の前から居なくなったのを確認すると二人は油断するように会話をし始める……「あれを知られる訳には往くまい。『ミユ・ポポ』様からそう言い付けられているもんな」何か新たな人物名が浮かんで来たのは何とも不気味な話だけど。

「唯でさえ旦那のポポが『ケイオスはビースティアンの所有物ではない』なんてイカレた発言をして袋叩きに在った五年前が在るんだぞ。又此処が襲撃されたら最早改修工事費だって出ないぞ」

「折角、取り敢えず例の展示物さえ……おや?」

「懐から何を取り出した?」

「こんな物だ。どれどれ……『今日の深夜、鍵を盗んで行くぜ アドヴァニアンの盗み人より』って……何いイイ、アドヴァニアンの盗み人だってえ!」

「大変だ、至急ミユ様に報せないとおお!」

更新日:2019-08-12 08:16:45

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