崩壊する『カムパネルラ』……そんな中で彼は尚も生存を諦めません。

「バルマーの野郎、『ワン・オサワ』の巣窟だった此の都市を潰す気だったのかよ！」

「処であの皇帝野郎は無事だったか？」

「陛下を野郎とか言うな！」ヴェイダーに礼儀は無意味では在りますけど、エイガーさんは次のような事を伝えます。「大丈夫だ、無事に此の都市を脱出したぜ……しかし、よお！」

「あのいけ好かねえ皇子が何で自分の兄貴を殺しに来たのかって事だろ？　ンな事は去年の振る舞いを見ればわかるだろう……」「そうじゃなくて、バルマーの事だ。ブレン殿下ごと『アークフラッシャー』で焼くつもりだったんだぞ！」少し状況を理解出来ない方々の為にも少しだけ解説します。

　今此処で何かから逃れる為に走っているヴェイダーとエイガーさんは何から逃れているかですよね？　其れは先程、エイガーさんが口にした『アークフラッシャー』という言葉から自ずと理解を深めると思います。其れ以上は少しだけ情報を控えさせて貰います。

　其れにしても二人は崩壊の勢いが止まらない『カムパネルラ』の倒壊する建物の下敷きに成らないように距離を取り、更には粉塵にも更には衝撃で発生する暴風にも自らで注意喚起します。

「ウオッ、ガッハア……糞ったれが、こんなの！」

「オイ、危ねえぞ！」正義の味方で在るエイガーさんは例えヴェイダーでも建物の下敷きから身を乗り出して素早い熟しで比較的安全圏へと避難します。「お前が仲間じゃなければとっくの昔に見殺しにしていたのに！」

「有難い、そうでなくちゃあ俺の手駒として……」「五月蠅い、一年間の内の一週間を籠めた全力パンチだ！」そして、エイガーさんの怒りから一年もの間にヴェイダーから物凄い損害を被ったと思われます。

「後で覚えておけよ。俺が理不尽に……」「理不尽の塊が言うなあ！」エイガーさんの言う通りです－－何の理由もなく私の事を殴るヴェイダーが人の事を注意する立場に在りません。

　其れでもコメディをずっと続ける程、二人は余裕では在りません。比較的安全だった場所も足場が緩み始めるや否や直ぐに次の安全な場所へと避難しに足を動かしてゆきます。ですが、ヴェイダーは先程の衝撃で左右の肋骨を其々二本ずつ折られた事で呼吸困難を起こして幾らエイガーさんの足が速くてもまるで付いて行けない程に鈍足を極めます！

「ゲッフ……糞ったれが、こんな時に」其れでもヴェイダーは突然、壊れた時計を取り出します。「ハアハアハア、俺は、死ぬのか？　いや、時計は、未だ、揺れ動いている？　ハアハアハア、如何ゆう意味だ？」

「ヴェイダー、まさかさっきの衝撃で……」「先に行け、エイガー」其れでも助けようとするエイガーさんを制止する謎の自信に満ち溢れたヴェイダー。

「馬鹿を言うんじゃねえ。お前みたいな屑でも仲間で在る以上は……」「俺が死ぬ？　そんな可能性は何処にもねえよ！」銀眼を怪しく輝かせてでも悪魔のような笑みをエイガーさんに見せ付けるヴェイダー。

「チイ、其の言葉……覚えておくぜ！」

　そうしてエイガーさんはヴェイダーを信じて其の場から高速で立ち去って行きます……「衝撃波が此処迄押し寄せて来たな……そろそろ俺は、俺は！」絶望が広がる瞬間、ヴェイダーの眼に何かが飛び込みます！

　其れは－－