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小説

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罪の、継承

世界に平和が訪れ、それぞれの国がそれぞれのやり方で復興を目指し、やがて軌道に乗り、新しくも平凡な日常が戻り始めた、そんなとある日のこと。

かつて「導かれしもの」の1人として世界を救いし神官見習い……いや、その功績と掛け値なしの実力を認められ、いまや全世界の神官を統率する位である「大神官」の見習いとしてゴッドサイドに着任し、さらなる厳しい修行に励んでいた、クリフトが。

死んだ。

それは本当にあっけないものだった。
ある日突然胸をかきむしり、そのまま倒れて亡くなったのだ。
一度ミントスで生死の境をさまよったとはいえ、心の臓はともかく、他にも特に持病を抱えていたわけでもなかったのに、その日突然彼は「ぐぅ」と一言唸ったきりぱたりと倒れてそのまま、閉じた瞳を再び開くことは、なかった。

あまりに突然の出来事、全世界にもたらされた一報に、誰もが驚きを隠せなかった。せめてものはからい、とゴッドサイドからサントハイムへと還ってきた彼の貌は、まるでただ眠っているかのようで、その姿が余計に人々の哀しみを誘った。

彼の人柄を忍んで嘆き悲しむ声がさめざめと響き渡り、貴重な人材を失った痛手にサントハイムはただただ、追悼の涙に沈んだ。


国葬は盛大に執り行われた。そこには、かつての仲間たち……勇者カイルやミネア、マーニャ、ライアン、トルネコの姿もあった。
彼らは、棺に横たわるクリフトに向けて、そっと首を垂れる。

そして。

胸元に、ライアンが、魔除けとして必ず納める、「抜き身の聖なるナイフ」を置いた。

組んだ両の手に、トルネコが、追悼の百合の花を捧げた。

額に柔らかく口づけをして、マーニャが、「魔法の聖水」を納めた。

一つ大きな息をついて、カイルが、彼愛用の「鞘に納めたはぐれメタルの剣」を棺に入れた。


耳元で、ミネアが小さく「祝詞」を唱えて。


棺は蓋を閉じられたのち、神父の祝詞とたくさんの人々の涙に見送られ、王家の墓のそばにある、サントハイム国への功労者をねぎらうための墓地へと、埋葬された。

その一部始終を、アリーナは涙1つこぼすことなく、ただ無表情のまま見送った。

更新日:2019-05-28 21:51:18

罪の、継承 (クリフト×アリーナ)