• 4 / 6 ページ

その1-1 異世界転生してません。

某日某所にて、ライラックが住処に井戸を掘ることにして約数時間が経過してた。土にスコップを突き刺し掘り進めど、まだまだ水源が出てこない・・・・

「まっずいなー、掘るポイント間違えたか?いや、マーメイド達はにこやかにgoサイン出してたから、行けるはずだ。」

ちなみに、マーメイド達とは近くの崖に住んでいるご近所さんな人魚のことで、海とか水関係のスペシャリストなのである。

「お、土の色が変わったぞ?行けるか?」

ザクザクとお手製スコップで掘り進めていくと、

「お?」
「きゅ?」

なんか、水色の丸っこいのがいた。

「・・・」

新種のアメーバだろうかと穴から這い出たライラックは手に持っていたスコップでつついてみた。

「ぴ、」

水色のそれは、逃げることなく大人しくつつかれている。物理的に凹んではいるがすぐにぷよんと元どおり、どうやら痛くないようだ。

「アメーバじゃねえな。まずアメーバは顔無いし鳴かないしな・・・・おい、お前はなんだ?俺の縄張り(聖域)にはいないはずだぞ?」
「きゅ?」
「え、お前こそ誰だって?」
「きゅ。」
「俺のことは何もわからんのか?」
「・・・・・」
「いや、そんな何言ってんだこいつ的な顔をするなよ。」

ライラックと言う存在は、生き物達にとってはとある概念から生まれた存在であり逆らうべきでないと本能で無意識に感じるはずなのである。まあ、逆らってはいけないと感じるだけであり、恐怖の対象というものではないので住処(聖域)付近の野生動物とは仲良く楽しくやっていた。それがこの生き物は感じはすれど誰なのかなぜそう感じるのかわからないと言う。

「よく見たら知らん植物ばっかだし、うーん。参ったぞ・・・こういう頭使うのアイツの役目だしなぁ。」
「きゅ?」
「あ、大丈夫大丈夫、ちょっと待ってな。」
「きゅ。」

ライラックは普段使わない頭を使った。俺に対して何も感じていないわけではない→本能で感じれど概念的存在とは知らない→ライラックはこの生き物ないしこの辺りの概念ではない→つまりここはライラックの縄張りまたは聖域ではない→ここは別の世界である。

「って事だったら納得はできるなー。よし、その方向で行こう。」
「きゅ?」
「あ、待っててくれてありがとうな。俺はライラック、まぁ強いて言うなら迷子だ。」
「・・・・・・」
「あれ、なんだろデジャヴな顔してるぞ?」

更新日:2020-06-08 12:16:04

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook