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181208俺と隣の吸血鬼さんの風邪

「げほっごほっごほっ」
「おい、大丈夫かよ。
布団しいたから横になれ。
俺、これでも独り暮らし長いから
一通りできるから。
て、何で吸血鬼が風邪なんかひくんだ」
そう、今目の前の布団に横たわっている、
サラサラ黒髪の青い瞳のイケメンが
潤んだ目で俺を見て言う。
「それは、げほっ。あなたの血を吸って
その時に風邪のウィルスが入って来て
げほっごほっ」
・・・そうなんんだよなぁ。目の前のイケメン。
実はアパートの隣の部屋の住人。
だが、ひょんな事から知り合って、
俺の血をおいしくしたいと
家事全般を引き受けてくれている。
それに、俺の血を飲むと目からルビーを
出すので、その売上げで俺は
ブラック企業とおさらばして、
定時出社退社の残業無しのホワイト企業に
ご就職ひゃっほー♪
あ、ちなみに血は首筋に牙を突き立てたりなんか
しないよ。
腕に注射針をさして輸血用チューブで
飲んでいるのだ。
さて、とりあえず、お隣の吸血鬼さんが
風邪で倒れたので、俺が栄養価のある物を
食べるしかあるまい。
ただ、胃に優しい消化にいい物を食べる。
といっても、魚を中心としたご飯とみそ汁と
そしてビタミンン豊富なミカンを食べただけだがな。
そして、しばらくしてお隣の吸血鬼さんに
そろそろ飲めるかと尋ねると、
咳き込みながら上半身を起こし、
輸血用のチューブをチューチュー吸う。
普段よりも飲む量が少なかったが、
落ち着いたのか、その後はすやすやと寝たのだった。
・・・・・後日。
「げほっごほっ」
今度は俺が風邪をひいた。
吸血鬼さんは困った顔をして、
「お粥ができましたよ。少しでも食べて下さい」
とかいがいしく面倒をみてくれた。
その間、風邪がうつると嫌だからと、
トマトのホール缶を食べていた。
トマトでもいけるんかいっ
と、熱にうなされながら思う俺だった。

更新日:2019-04-02 06:41:49

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