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181129俺と隣の吸血鬼さんの芸術論

「それでは腕を出して下さい」
「お、そうだな。今度はお前の飯の
番だったな」
そう。俺の隣室は吸血鬼だ。
ひょんな事から知り合って、
家事全般をやる代わりに
俺の血を提供する契約になっている。
え?首筋に牙を立てないのかって?
今時流行らないし男同士だからなぁ。
俺は左腕を出して輸血する注射針を
さして、彼がチューブから俺の血を飲む。
暇なのでスマホでネットサーフィンしていると
「好きな芸術家は?」の一文が。
「好きな芸術家かぁ?なぁ、吸血鬼さん
画家の知り合いとかいなかったのか」
丁度俺の血を飲み終えた吸血鬼さんが
小首を傾げて
「さぁ?特にいませんでしたね。
何しろ、芸術家って酒ばかり飲んで
ロクな物を食べないので特に
関わり合いになりたくないし
自分を見て、裸体像のモデルになってくれとか
嫌になりましたねぇ」
「まぁ、芸術家って変りものが多いからな。
「でも、ピカソみたいに美女にもてたんじゃない?
その容姿なら」
すると吸血鬼さんは真っ赤になって、
「そんな女性に声をかけるなんてそんな事・・・」
照れる吸血鬼さん。
・・・・ちょっと待て。この人今まで誰の血を
飲んで生きてきたんだ?
男には声をかけられるんだよな?
あまり深く考えるのは止めた俺だった。

更新日:2019-03-31 09:48:12

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