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181127俺と隣の吸血鬼さんの朝

朝、微かな朝日がカーテン越しに入り
俺の目を覚ます。
そして鼻孔をくすぐる卵の匂いに
耳が味わうひき肉のジュージュ―言う音。
あれ?俺嫁さんいたっけ・・・て。
ダダダ、俺はリビングへ行く。
「あ、おはようございます。
今、オムレツを作っていてもうすぐできます。
顔を洗ってきて身支度して下さいね」
「あ、ああ、ありがとう。てお前
お隣りの吸血鬼じゃないか。
朝から何してる。どうやって入った!」
すると、ひよこのアップリケが付いた
ピンクのエプロンを着た吸血鬼が
口をとがらせて、
「だって、あなた朝きちんとした食事
とらないじゃないですか。
まずいんですよ。血が。なんかゲロマズな
青汁みたいな血を飲まされる僕の身にも
なってください」
そう、俺はこの吸血鬼に血液を提供している。
俺の血液を飲むと、吸血鬼は目から
ルビーを出して生計を立てているのだ。
俺もその血液提供代として
ルビーの代金を分けてもらっている。
その為の代償として適度な運動に
バランスの整った栄養価のある食事、
仕事も変って定時に帰り十分な睡眠を
とる事を要求されている。
あ、もちろん、血は首筋に牙を突き立てて
なんて、ある一定の女性の喜ぶ事はしない。
腕から注射針を通してチューブで
飲むのだ。
それでどうして体を維持しているのかは謎だ。
「・・・・・・・・」
とにかく俺は顔を洗って身なりを整え
食卓へつく。
おいしそうなオムレツとみそ汁とサラダが
添えられている。
「いただきます」
手を合わせ、朝ごはんをいただく。
うまい。こんなうまいご飯ひさしぶりに食べた。
目の前で隣の吸血鬼さんがニコニコしている。
俺、嫁さんもらえるのかなぁ。
思わず遠い目をして、みそ汁のお代わりをするのだった。

更新日:2019-03-30 11:14:29

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