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ss181124俺と隣の吸血鬼さんとワイン

「お、ただいまぁ。吸血鬼さんいるかぁ」
するとヒヨコのアップリケのついた
ピンクのエプロンを着た吸血鬼さんが
出てきた。
そう、吸血鬼。
ひょんな事から知り合った俺達。
色々あったが俺の部屋を綺麗にして
料理する事で、俺は対価として
血を提供する事になった。
もちろん、首に牙を突き刺すのではない。
輸血用の注射針からチューブを通して
俺の血を飲むのだ。
吸血鬼さんが料理をするのには意味がある。
俺の血を綺麗にして美味しく飲むには、
俺の食べるものが影響するからだ。
だが、今日は俺もワインを飲みたい!
そう、会社の№1かわいい事務員さんが
結婚することになったからだ。
かわいいなぁ、と思って俺なりにアプローチ
していたのだが、営業№1のできる奴に
持って行かれた。
あくまでもやけ酒ではない。祝い酒だ。
という事を吸血鬼さんに伝えると、
「仕方ありませんね。そういう事なら
一杯ならいいですよ」
じゃぁ、ホタテ缶ときゅうりでおつまみ作りますね。
と台所に立つ吸血鬼さん。
「吸血鬼さん、ワイン直接飲めるのか」
「ええ、まあ飲めない事はないですね。
栄養にはなりませんが」
「だったら飲もうぜ」
仕方ないなという顔をした吸血鬼さんを
横目に、戸棚からワイングラスを出す。
吸血鬼さんは、おつまみにドイツ産の
ウィンナーソーセージを出してくれた。
・・・よく考えたら俺、嫁いるようなもんだよな。
男だけど。
「吸血鬼さん、性転換できないの」
コンっとワインのコルクが頭に当った。

更新日:2019-03-29 15:41:18

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