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第13話 孤独への挑戦

14時
ガラガラの山手線内で震える山崎。
山「みっすー・・・・・恐ろしい事考えるぜ・・・帰宅ラッシュになった時一体俺はどうなるんだ・・・・」
時計の針が進んでいく。
16時
日が落ちていく
怖い。
吐きそうなぐらいに心がおちていく山崎の前に1人の老婆がたった。
老婆はにこやかで、その車両の客一人一人に「お疲れ様です」と挨拶していた。
山崎はその光景を見ながら、少しほっとした。
そして、山崎もコミュニケーションをとりたいと思い、席を立ち、
山「おばぁちゃん、席どうぞ」
と席を譲ろうとした。
すると、老婆はにこやかな表情が消え、
「あんたは悪魔じゃあ!!人間じゃねぇべや!!」
と山崎を怒鳴りつけ、老婆とは思えない全力ダッシュでその車両から去った。
ポカーンとする山崎。
回りの客は山崎を冷たい表情でみた。
18時30分
徐々に帰宅ラッシュが近づいてくる。
山崎はさっきの老婆の事を考えていた。
あんな優しそうな老婆までが自分を否定する。
俺は、誰からも愛されないのか?
俺は、誰からも嫌われるのか?
涙がでそうになってきた。
19時00分
帰宅ラッシュがスタート
客がどんどん入ってくる。
だが、山崎は異変に気づいた。
客が入ってくるたび、一瞬山崎の方をみて隣の車両にうつっていく。
他の車両は満杯なのに
中には電車から出ていく客もいる。
そして、気づいた。
山崎が乗る車両には山崎1人しかいなくなった。
新宿駅。
他の車両にも、駅構内にも、人が溢れている。
しかし、ここには自分しかいない。
山「ふふふ・・・」
山崎は笑いだした。
山「もういい!俺は、俺はどうせひとりぼっちなんだぁぁ!!」
山崎は自暴自棄になった。
山「俺は好きな事やってやる!!」
山崎は電車内でねっころがったり、つり革にぶらさがったり、と子供のように暴れた。
しかし、すぐにむなしくなった。
山崎は再び席に座った。
思わずぼーっとする山崎。
ふと、電車内の広告をみると、ギブリの広告があった。
「崖の上のポニュ原画集」
広告にあるポニュの絵をみながら山崎は及川さんを思い出した。
山「・・・及川さん・・・・大丈夫かな?」
21時30分
新宿駅でみっすーが乗ってきた。
山「みっすー・・・・」
み「暇してるでしょ?いいものもってきてあげたよ」
山「えっ?」
み「山崎さんプロレス好きでしょ?だからあげる」
みっすーは山崎に週刊プロレスを渡した。
み「これ読んで頑張ってね。あとちょっとだよ」
山「おう・・・・」
みっすーは代々木で再びおりた。
週刊プロレスを読む山崎。
そこには、プロレスラーの北橋弘至がこんな事を言っていた。
「誰にどう思われたいかじゃない。何をするかなんだ」
山崎は心が震えた。
山「そうか・・・・今まで俺は人に愛されたいとか、嫌われたくないとかそんな事ばかり考えていた・・・・でもちがうんだ・・・・他人なんて関係ない。孤独で当たり前だ。俺は、俺は、俺は、俺は、俺がやるべき事をやるんだ。そして、それは・・・・」
山崎はチラリとスタジオギブリの広告をみた。
山「及川瞳を救い出す事だ」
続く

更新日:2019-02-15 12:53:33

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