- 51 / 196 ページ
友と
翌朝、佐野は先に目覚め、隣で寝息を立てている和泉をしばしの間、見つめた。
裸のふたり。カーテンの隙間から射す太陽の光。今日もまだまだ暑いのだろう。
眠っている間に、和泉が掛けてくれたのだろうか。それとも寝ぼけながら自分が掛けたのか。
ふたりを包むタオルケットが、エアコンの冷風から裸のふたりを護ってくれていた。
佐野は昨夜、自分が激しく愛した和泉を見つめる。
裸の胸の中にいる和泉。
深く挿入されていたはずのペニスは、当然ながら抜け落ちていた。
眠りに落ちるまで和泉の中にあり、熱く潤んだ粘膜と、己が放った精液の海の中にあったはずペニス…
肥え太った自分の下、ほとんど見えなくなった小柄な和泉を押し潰す勢いでのしかかり…きつく抱きしめながら和泉の中、奥深く、大量に子種を放ったペニス…
そのペニスは今、再び佐野の股間で息づいている。朝の生理現象で、硬く反り返っている。
そっとタオルケットを捲り上げると、和泉の股間でも、同じように可愛らしいペニスが首をもたげていた。
思わず頬が緩む佐野。
眼鏡をしていたはずだが…いつの間にか外したのだろう。いつもの枕元に黒縁の眼鏡はあった。
眼鏡を掛け、先に布団から出る佐野。
トランクスを拾い上げて足を通す。
ブルンと首を振る勃起。
乾いた体液の生臭い匂いが、微かに鼻先に漂う。
激しい夜の名残…体も汗臭い。
でも佐野は、シャワーで洗い流そうとは思わなかった。せっかく身にまとったこの匂いを失いたくなかった。
誇らしかったのだ。男としての充実感。
この胸に抱き…夜を共に過ごした相手を絶頂に導いた。
この匂いは、俺の…男としての勲章だ…
そう思いながら、佐野はトランクスを引き上げた。
勃起を収めたトランクスの股間は、見事なテントを張った。
洗面所で顔を洗う。
鏡の中に映る自分を見つめる佐野。
どこにでもいる…冴えない中年男だ…
でも…和泉は、この俺が良いと言う…好きだと言う…
そう思うと何だか照れくさく、佐野はもう一度、冷たい水で顔を洗った。
………………
しばらくして目覚めた和泉も、どこか照れくさそうで…ぎこちなかった。
こんなとき、年長者として上手くリードして雰囲気を柔らげてやるべきなのだろうが…佐野にはどう対処したら良いやら分からなかった。
でも、そんなぎこちない雰囲気も、好ましくも感じられた。
「…今日は佐野さん、仕事ですよね」
「ああ、和泉くんは…」
「いったん家に帰ってから…今日はバイトが入ってて…」
「…そうか…」
佐野が用意した簡単な朝食を取りながら交わす会話。
こんな朝…良いもんだな…
佐野は和泉の顔をちらりと見ながら思った。
「また…こうして会いたいな」
赤い顔で、思い切ったように言う和泉。
「昨日の佐野さん…本当に…素敵でした」
「ん…おお…ありがとう…」
…礼を言うのも変か…?
そう思いながら佐野も赤い顔で答え、飯を掻き込む。
「…君も…和泉くんも可愛かったよ」
「……恥ずかしいです…でも嬉しいです。佐野さんにそう言ってもらえて」
そう言って見つめあい…ふたりは笑った。
………………
「よお!ヨッさん、おはよう」
職場のロッカーで、関に声をかけられた。
「ああ、おはよう」
佐野も笑顔を返す。
「昨日はどうだった。デートだったんだよな?確か」
声を潜めてニヤリと笑いながら言う関。
関には、和泉と会うことになったことを話してあった。男同士の話を打ち明けられるのは、関だけだ。
「ん…?ああ…まあ…何とか…」
「お?余裕だな?さては…上手くいったか?」
「……後で話すよ…仕事だ。ほら」
制服に着替え終わると、佐野は関の肩を押した。
「分かったよ…全部聞かせろよ?タチったのか?まさかウケか?」
作業服に着替えた関は、小声でなおも言う。
「…だから…!後で話すって…!」
佐野は苦笑しながら逃げるようにロッカールームを飛び出した…
関はその後ろ姿を見つめながら、スッと真顔に戻る…
嫉妬なのだろう…自分でも分かっていた。
だからこそ…負けたくないと思った。
………………
それから一週間ほど経ったある日の仕事帰り。
関と佐野は、いつもの居酒屋にいた。
佐野は正直に、全部話した。
話しながら、やはり誇らしい気持ちになっている自分が不思議だった。
あの夜、今までの自分と違う何かを成し得たこと、そして和泉を満足させられたこと…それらが誇らしさの基なのだろうと、佐野は改めて思う。
「…まあ、そこまで完璧に最初からタチれるなんて、あの若いの…そりゃ喜んだろうなあ」
酒をクイッと空けながら言う関。
…ったく…ヨッさん、俺には配慮が無いのかよ…そんな話を聞かされる俺の身にもなれっての…
少し苦味のある感情が、関の胸に湧く。
「…自分でも無我夢中で…向こうのリードもあったからだろうな…この歳で恥ずかしいけどな…」
裸のふたり。カーテンの隙間から射す太陽の光。今日もまだまだ暑いのだろう。
眠っている間に、和泉が掛けてくれたのだろうか。それとも寝ぼけながら自分が掛けたのか。
ふたりを包むタオルケットが、エアコンの冷風から裸のふたりを護ってくれていた。
佐野は昨夜、自分が激しく愛した和泉を見つめる。
裸の胸の中にいる和泉。
深く挿入されていたはずのペニスは、当然ながら抜け落ちていた。
眠りに落ちるまで和泉の中にあり、熱く潤んだ粘膜と、己が放った精液の海の中にあったはずペニス…
肥え太った自分の下、ほとんど見えなくなった小柄な和泉を押し潰す勢いでのしかかり…きつく抱きしめながら和泉の中、奥深く、大量に子種を放ったペニス…
そのペニスは今、再び佐野の股間で息づいている。朝の生理現象で、硬く反り返っている。
そっとタオルケットを捲り上げると、和泉の股間でも、同じように可愛らしいペニスが首をもたげていた。
思わず頬が緩む佐野。
眼鏡をしていたはずだが…いつの間にか外したのだろう。いつもの枕元に黒縁の眼鏡はあった。
眼鏡を掛け、先に布団から出る佐野。
トランクスを拾い上げて足を通す。
ブルンと首を振る勃起。
乾いた体液の生臭い匂いが、微かに鼻先に漂う。
激しい夜の名残…体も汗臭い。
でも佐野は、シャワーで洗い流そうとは思わなかった。せっかく身にまとったこの匂いを失いたくなかった。
誇らしかったのだ。男としての充実感。
この胸に抱き…夜を共に過ごした相手を絶頂に導いた。
この匂いは、俺の…男としての勲章だ…
そう思いながら、佐野はトランクスを引き上げた。
勃起を収めたトランクスの股間は、見事なテントを張った。
洗面所で顔を洗う。
鏡の中に映る自分を見つめる佐野。
どこにでもいる…冴えない中年男だ…
でも…和泉は、この俺が良いと言う…好きだと言う…
そう思うと何だか照れくさく、佐野はもう一度、冷たい水で顔を洗った。
………………
しばらくして目覚めた和泉も、どこか照れくさそうで…ぎこちなかった。
こんなとき、年長者として上手くリードして雰囲気を柔らげてやるべきなのだろうが…佐野にはどう対処したら良いやら分からなかった。
でも、そんなぎこちない雰囲気も、好ましくも感じられた。
「…今日は佐野さん、仕事ですよね」
「ああ、和泉くんは…」
「いったん家に帰ってから…今日はバイトが入ってて…」
「…そうか…」
佐野が用意した簡単な朝食を取りながら交わす会話。
こんな朝…良いもんだな…
佐野は和泉の顔をちらりと見ながら思った。
「また…こうして会いたいな」
赤い顔で、思い切ったように言う和泉。
「昨日の佐野さん…本当に…素敵でした」
「ん…おお…ありがとう…」
…礼を言うのも変か…?
そう思いながら佐野も赤い顔で答え、飯を掻き込む。
「…君も…和泉くんも可愛かったよ」
「……恥ずかしいです…でも嬉しいです。佐野さんにそう言ってもらえて」
そう言って見つめあい…ふたりは笑った。
………………
「よお!ヨッさん、おはよう」
職場のロッカーで、関に声をかけられた。
「ああ、おはよう」
佐野も笑顔を返す。
「昨日はどうだった。デートだったんだよな?確か」
声を潜めてニヤリと笑いながら言う関。
関には、和泉と会うことになったことを話してあった。男同士の話を打ち明けられるのは、関だけだ。
「ん…?ああ…まあ…何とか…」
「お?余裕だな?さては…上手くいったか?」
「……後で話すよ…仕事だ。ほら」
制服に着替え終わると、佐野は関の肩を押した。
「分かったよ…全部聞かせろよ?タチったのか?まさかウケか?」
作業服に着替えた関は、小声でなおも言う。
「…だから…!後で話すって…!」
佐野は苦笑しながら逃げるようにロッカールームを飛び出した…
関はその後ろ姿を見つめながら、スッと真顔に戻る…
嫉妬なのだろう…自分でも分かっていた。
だからこそ…負けたくないと思った。
………………
それから一週間ほど経ったある日の仕事帰り。
関と佐野は、いつもの居酒屋にいた。
佐野は正直に、全部話した。
話しながら、やはり誇らしい気持ちになっている自分が不思議だった。
あの夜、今までの自分と違う何かを成し得たこと、そして和泉を満足させられたこと…それらが誇らしさの基なのだろうと、佐野は改めて思う。
「…まあ、そこまで完璧に最初からタチれるなんて、あの若いの…そりゃ喜んだろうなあ」
酒をクイッと空けながら言う関。
…ったく…ヨッさん、俺には配慮が無いのかよ…そんな話を聞かされる俺の身にもなれっての…
少し苦味のある感情が、関の胸に湧く。
「…自分でも無我夢中で…向こうのリードもあったからだろうな…この歳で恥ずかしいけどな…」
更新日:2019-03-02 12:49:57