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非番の日に
数日後。ホームで言葉を交わすふたりを見かけた関は、何らかの変化を敏感に感じ取った。
いつも佐野を見ていた関にとっては、佐野と和泉の間に何かあったことを見て取るのは、容易なことだった。
「…和泉くん、ずいぶん嬉しそうだったな。良いことでもあったか?」
…ちゃぷ…
湯船に並んで浸かりながら、小声で佐野に尋ねる関。
いつもの職場の浴場…
行き交うほかの同僚たちの裸の体を、最近少し意識するようになっている自分に、佐野は気付いている。
「…ん……後で話すよ」
「ってことは…何かあったってことか」
関はそう呟くと、それ以上は聞かずに、掬った湯を肩にかけて目を閉じた。
湯の玉が光るそのガッチリした肩は、この前しっかり抱き合ったときに、確かに触れた肩…
横目で関の肩をチラリと見ながら、そう思う佐野。
関に倣うように目を閉じる佐野…
と、その太ももに、湯の中の関の手が、そっと触れた。
ギョッとして身を震わせ、隣の関を見る。
関は何食わぬ顔で目を閉じたままだ…
関にしてみれば、ライバルとも言える和泉との仲が進展したのなら、俺のことも忘れるなよという意味での行動だったが…佐野には十分伝わった。
佐野は自分の肉体を欲している関の存在を否応なしに意識する。
そして、関から受けたフェラチオの激しい快感をふと思い出し…湯の中でペニスが反応しそうになり、慌てて他のことを考えて気を逸らせた…
……………
「…で、宿直室で和泉くんととうとう…って訳か」
関のアパートで、ふたりは畳にあぐらをかいて座り、言葉を交わしている。
宿直明けの昼間。
酒も飲まずにシラフで、こうして関のアパートにいるのは初めだなと佐野は思う。
エアコンの冷風を受けながら、関が出してくれた冷たい茶を飲み、佐野は滲み出す首の汗を拭う。
「うん…まあ、な…そういうことだな…」
「しかし…ヨッさんも宿直室でよくやるよ。バレたら大変だぞ」
「…分かってるよ。まあ、成り行きで…」
「そりゃ分かるけどよ…しかし、短期間に俺と和泉くん、ふたりの男から求められるって、ヨッさん、モテモテじゃないか」
「…からかわないでくれよ、雄三さん…」
ますます汗をかく佐野。
ふたりとも通勤時に着ているスーツや作業服は脱いで、下着姿だ。
シラフでここにいる自分。
こんな格好で関のそばにいる自分。
何かを期待している自分…佐野はそれを否定できないでいる。
「俺は構わないぞ。どっちに転ぶかはヨッさん次第だしな。ヨッさんみたいな元々ノンケの男が、和泉くんのような若いのに転ぶか、俺みたいな同年代のオヤジに転ぶか、俺には全く分からんことだしな」
「……………」
「…そりゃ、俺の方に転がって来てくれりゃあ有り難いってのが正直な気持ちだけどよ」
そう言って笑って茶を飲む関の、少し寂しさが混じったような表情に、佐野の胸は騒ぐ。
…まったく俺は…本当にどっちつかずで‥どうしたいんだろうな…
上半身裸でトランクス一枚であぐらをかいている関の姿を横目で見ながら、佐野も茶で喉を潤す。
そして、白いランニングシャツに包まれた自分の丸い腹や、白い太ももを見下ろし、こんな緩んだ自分の肉体を欲している男かふたりもいることに、やはり妙な気分になる。
目の前には、敷きっ放しの布団がある…
「…和泉くんも同じことを言ったんだよな。俺も同じだぞ?ヨッさんが迷っているなら、ヨッさんが自分で決めるまで、とりあえず会ったり…こうしてカラダの関係を持つだけでも…いいんだ…」
関の手のひらが、佐野のふとももに乗る…
「…どうだ?ヨッさん…」
関の言葉に佐野は冷たいお茶を飲み干し、ゴクリと喉を鳴らす…
……………
ずちゅ…ズ…ぢゅぷッ…!
「お…ッ!く…っう!」
カーテンの隙間から射す光が、布団の上のふたりを照らす。
丸裸の佐野は布団の上に仰向けになり、カエルのように太い脚を投げ出し、大きく開いている…
その股ぐらに反り返った太い勃起を、佐野の股の間に伏せるように陣取った関が掴み、唾液をたっぷりと含んだ口腔に太竿を収め、頭を上下させている。
「う…あ…」
くっ…やっぱり…
声が出ちまうほど…気持ちいい…
佐野は片腕で顔を隠しながら小さく喘ぐ。
関の舌先で敏感な亀頭やカリ首をくすぐられながら、引き絞った唇で太い茎を根元から深く往復されることで産み出される快感は、佐野にとって堪らないものだった。
関も、再びこうして密かに愛してきた佐野の勃起したペニスを唇と舌で刺激し、快感に悶えさせることができるのは、深い悦びだった。
その悦びは、関が生来持っているタチとしてのものだ…
同時にそれは、佐野をこうして口で悶えさせているだけで満足するものではないことも意味している…
いつも佐野を見ていた関にとっては、佐野と和泉の間に何かあったことを見て取るのは、容易なことだった。
「…和泉くん、ずいぶん嬉しそうだったな。良いことでもあったか?」
…ちゃぷ…
湯船に並んで浸かりながら、小声で佐野に尋ねる関。
いつもの職場の浴場…
行き交うほかの同僚たちの裸の体を、最近少し意識するようになっている自分に、佐野は気付いている。
「…ん……後で話すよ」
「ってことは…何かあったってことか」
関はそう呟くと、それ以上は聞かずに、掬った湯を肩にかけて目を閉じた。
湯の玉が光るそのガッチリした肩は、この前しっかり抱き合ったときに、確かに触れた肩…
横目で関の肩をチラリと見ながら、そう思う佐野。
関に倣うように目を閉じる佐野…
と、その太ももに、湯の中の関の手が、そっと触れた。
ギョッとして身を震わせ、隣の関を見る。
関は何食わぬ顔で目を閉じたままだ…
関にしてみれば、ライバルとも言える和泉との仲が進展したのなら、俺のことも忘れるなよという意味での行動だったが…佐野には十分伝わった。
佐野は自分の肉体を欲している関の存在を否応なしに意識する。
そして、関から受けたフェラチオの激しい快感をふと思い出し…湯の中でペニスが反応しそうになり、慌てて他のことを考えて気を逸らせた…
……………
「…で、宿直室で和泉くんととうとう…って訳か」
関のアパートで、ふたりは畳にあぐらをかいて座り、言葉を交わしている。
宿直明けの昼間。
酒も飲まずにシラフで、こうして関のアパートにいるのは初めだなと佐野は思う。
エアコンの冷風を受けながら、関が出してくれた冷たい茶を飲み、佐野は滲み出す首の汗を拭う。
「うん…まあ、な…そういうことだな…」
「しかし…ヨッさんも宿直室でよくやるよ。バレたら大変だぞ」
「…分かってるよ。まあ、成り行きで…」
「そりゃ分かるけどよ…しかし、短期間に俺と和泉くん、ふたりの男から求められるって、ヨッさん、モテモテじゃないか」
「…からかわないでくれよ、雄三さん…」
ますます汗をかく佐野。
ふたりとも通勤時に着ているスーツや作業服は脱いで、下着姿だ。
シラフでここにいる自分。
こんな格好で関のそばにいる自分。
何かを期待している自分…佐野はそれを否定できないでいる。
「俺は構わないぞ。どっちに転ぶかはヨッさん次第だしな。ヨッさんみたいな元々ノンケの男が、和泉くんのような若いのに転ぶか、俺みたいな同年代のオヤジに転ぶか、俺には全く分からんことだしな」
「……………」
「…そりゃ、俺の方に転がって来てくれりゃあ有り難いってのが正直な気持ちだけどよ」
そう言って笑って茶を飲む関の、少し寂しさが混じったような表情に、佐野の胸は騒ぐ。
…まったく俺は…本当にどっちつかずで‥どうしたいんだろうな…
上半身裸でトランクス一枚であぐらをかいている関の姿を横目で見ながら、佐野も茶で喉を潤す。
そして、白いランニングシャツに包まれた自分の丸い腹や、白い太ももを見下ろし、こんな緩んだ自分の肉体を欲している男かふたりもいることに、やはり妙な気分になる。
目の前には、敷きっ放しの布団がある…
「…和泉くんも同じことを言ったんだよな。俺も同じだぞ?ヨッさんが迷っているなら、ヨッさんが自分で決めるまで、とりあえず会ったり…こうしてカラダの関係を持つだけでも…いいんだ…」
関の手のひらが、佐野のふとももに乗る…
「…どうだ?ヨッさん…」
関の言葉に佐野は冷たいお茶を飲み干し、ゴクリと喉を鳴らす…
……………
ずちゅ…ズ…ぢゅぷッ…!
「お…ッ!く…っう!」
カーテンの隙間から射す光が、布団の上のふたりを照らす。
丸裸の佐野は布団の上に仰向けになり、カエルのように太い脚を投げ出し、大きく開いている…
その股ぐらに反り返った太い勃起を、佐野の股の間に伏せるように陣取った関が掴み、唾液をたっぷりと含んだ口腔に太竿を収め、頭を上下させている。
「う…あ…」
くっ…やっぱり…
声が出ちまうほど…気持ちいい…
佐野は片腕で顔を隠しながら小さく喘ぐ。
関の舌先で敏感な亀頭やカリ首をくすぐられながら、引き絞った唇で太い茎を根元から深く往復されることで産み出される快感は、佐野にとって堪らないものだった。
関も、再びこうして密かに愛してきた佐野の勃起したペニスを唇と舌で刺激し、快感に悶えさせることができるのは、深い悦びだった。
その悦びは、関が生来持っているタチとしてのものだ…
同時にそれは、佐野をこうして口で悶えさせているだけで満足するものではないことも意味している…
更新日:2019-01-07 16:52:26