官能小説

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佐野を見て会釈をする男…
“回送”に表示を切り替えた電車が、駅を出て行く。
ホームにはもう人影は無い。
男に凭れかかった和泉は、あの夜のように酔っ払ってしまって気分でも悪いのか、男に身を寄せ、俯いている…

「和泉くん…“また”酔っ払ってしまったようでね」
「………………」
「佐野さん…ですよね。彼から聞いています。宿直室の夜のことも…全部」

佐野は和泉を見つめたまま、何も言えずにただ立っている。

「彼は本当にあなたが好きなようだ。私は彼のような子が大好きなんだが…なかなか難しい」

佐野は黙っている…
和泉を見つめ…ためらいながら、そっと肩に触れた。

「和泉くん。しっかりしろ、大丈夫かい」

和泉は応えない…
俯いたまま、ぐったりとスーツ姿の男の大きな体に凭れかかったままだ。

「随分具合が悪いようだ。困ったな…彼の家は分からないし…実は私は願ってもいないチャンスだと思っているんだが…この辺りにホテルなどあったかな…?」

ニヤリと笑う男。
佐野は珍しく頭に血が上る自分を自覚する。

「いい年した大人が…卑劣な真似をするな…!」

静かだが…はっきりと怒気を孕んだ口調で、佐野は言った。
その目は、一瞬大牟田をたじろがせる程で…大牟田は深く息を吐き、ニヤリと笑って言った。

「和泉くん…今の佐野さんの顔…見せたかったよ。これはますます脈アリだな…」
「…………」
和泉は黙っている…

でも…聞き取れぬほど小さな声で言った。

「佐野さん…僕はあの夜から…何も変わらないよう振る舞わなきゃ…佐野さんと約束したんだからって思って…そうしてきたけど…」
「………………」
今度は佐野が黙る番だった。
時折鼻を啜りながら和泉は言葉を続ける。

「でも…やっぱり無理です…佐野さんが…好きだから…」
俯いているため分からないが…涙だろうか、ポタリと雫がホームの床に落ちた。

「どうだろう、佐野さん。仕事中悪いが…彼をどうしたらいいと思う。この前のように宿直室で休ませてやってくれないか」
「……………」
「もちろん後は任せる。君も男だ。互いに何を求めているか…もう分かっているだろう?」

…………!
佐野は小さく息を呑む。
何度も見た淫夢…

「彼だって同じだ…君を求めている…私だって彼の瑞々しい体が欲しかったが…仕方がない。君が彼の…最初の男になるんだ」
「……………」

男の手が和泉の股間に伸び…手の甲でそっと触れた。
男に肩を抱かれた和泉の体が、僅かにピクリと反応した。佐野は唾を飲む…

「さて…もう電車も無いし、タクシーか気分転換に歩くかな。後は任せたよ」
「お…っと…だ、大丈夫か?和泉くん…」

急に和泉の身体を押し付けられ、佐野は慌てて和泉の細い体を抱きとめる。
和泉の腕が、佐野の背中に回される…佐野はゴクリと唾を飲み込む。
男は軽く片手を上げ、歩み去ってゆく。

「と…とりあえず行こう、和泉くん」

今夜は特に蒸し暑い…
自分のシャツの背中が汗で湿っているのを感じながら、佐野は和泉に肩を貸しながら歩き出した…

更新日:2018-12-10 01:17:44

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