官能小説

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それぞれの夜

佐野は和泉の夢を見る。
高校生のあどけない姿の和泉がホームに立っている。
細身の身体に夏の制服は涼やかで、自分はその姿をホームの端に立ち見つめている。
入ってきた電車の風で、和泉の髪とシャツが揺れる。

裸の和泉が、自分の腕の中にいる。
年相応に肌も衰えて肥え太った自分の身体の下にすっぽり収まる、小柄で瑞々しい身体…
自分のペニスの熱い滾りを股間に感じる。
自分が同性に…こんな自分の子どもでもおかしくない年齢の若者に欲情するようになるとは…

それを教えてくれたのは和泉だ…
俺を…俺のことを好きだと言ってくれた…
この俺を…
堪らずきつく抱きしめる…
抱きしめようとするが、フッと和泉は消える。

場面は変わる。頻繁に変わる。夢の特性か。
今度は関に貫かれている自分…

和泉の前では男としていられる…
男として、この子を護っていく…そう思えるのに…
関とは逆になってしまう…

雄三さん、ヨッさんと呼び合う友…
年上の気のおけない友…
そう思っていたが…俺を好きだと言った。

風呂場で見慣れた浅黒く逞しい毛深い身体…
あの正に男の肉体の関が…男である俺を抱きたい…後ろに挿れて…繋がりたい…そう切望した…
俺は女のように泣いてしまう…
腹の中を前後する、友のペニスの太さや硬さを覚えている…

…どっちつかずで迷っていた俺…

でも…和泉くん…
…君も…君だってあの男と…

嫉妬の感情。そして後悔の念。
目が覚める。
ひとりの部屋。
ぼんやりと天井を見上げる…
いつもより早く目が覚めてしまった。
出勤するまでの気怠い時間…

和泉くん…君も…あの男と寝たんだろう…?
…俺が…本当に君と付き合っていくか…付き合っていけるか迷っていたからとはいえ…
その間…あの男に抱かれていたんだろう…?

…いや…
こんな嫉妬心からあの子を責める資格など…俺には無い…

あの夜からずっと堂々巡りの思考。
寝返りをうつ佐野。

…ずっとこのままで…
このままで終わってしまうのか…?

書きかけの未送信のメール。
詫びる内容。また会いたいという切望。
でも送れなかった。
嫉妬と後悔…よく分からない感情が邪魔をした。
佐野はまた寝返りをうつ…

……………

和泉は大牟田と、ほぼ同棲状態になっている。
佐野の駅を使うことも、ほとんどなくなっている。
それが寂しくない訳ではない。
佐野はどうしているか…あの夜のこと…聞きたいとは思う。

でも、時を逸した気がした。
大牟田は優しい。
ベッド以外でも…和泉に尽くすように可愛がってくれる。
物を買い与え、食事や旅行に連れて行き…仲の良い親子のように見えたかもしれない。

和泉の両親も、素直に育った出来の良い息子に安心し、大学生にもなって干渉する必要もないと考える性格だったため、“友だちとルームシェアしている”という息子の言葉を信じて疑わなかった。

卒業したら私の会社に来てもいい…そんなことまで大牟田は言った。
週末には、男同士…特に年配者と若者が互いに出会いを求めて集うようなバーに連れて行かれることもあった。

大牟田は常連なのだろう。自慢するように大牟田は、隣に居心地悪そうに腰掛けている和泉を褒めた。
大牟田はその店内でも目立っていた。
落ち着いた雰囲気と、品の良い身なり。
こんな男に、自分は愛されている…
和泉は不思議に思いつつ時間を過ごした。

何度かその店を訪れたある晩。和泉がトイレに立ったとき。
手を洗っていると、隣に立った若者が鏡を見ながら言った。

「…君も棄てられないよう頑張りなよ?」
「え?」

若者は品定めするかのように、和泉の全身にチラッと視線を走らせると、プイと出ていった。
和泉は暫く鏡を見つめていた…

……………

サウナで会ったあの青年から届いたメールを見つめ、佐野は思案している。
サウナのロッカールームで連絡先を交換したとき、青年はジュンと名乗った。
「『純粋』のジュンです。こんな所でハッテンばかりして、今さら純粋もないけど」と言って笑った青年。

サウナで“デキた”ことの礼と、「また会えたらいいですね」というボールをこちらに投げているような文面。
どう返信したものか…佐野は迷っている。

「…会ってみるのもいいんじゃねえか?ヨッさんが会いたいと思うなら」
「…意地悪だな…」

騒がしいいつもの居酒屋。

「意地悪じゃねえよ。ヨッさんが考えることだからな」
「…………」
「和泉くんのことも含めて全部な。もちろん気分転換にでも俺とまたヤリたいと言うんなら、喜んで相手させてもらうけどな」

ニヤッと笑う関。
佐野は溜め息をついて酒のグラスを口に運ぶ。
テーブルの向こうの関は、もう素知らぬ顔でつまみを口に運んでいる。

…どうしたらいいんだよ…全く…

佐野はグラスの酒を飲み干す。

更新日:2019-08-11 20:56:14

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