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血塗られた手のひら

【ご注意】 R-15です。血生臭い暴力的な表現が出てきます。
苦手な方はお気をつけ下さい。

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それは小学校二年の夏休みの出来事だった。

その頃の江戸川コナンは有頂天にあった。
一年の時を経て黒の組織がついに崩壊したからだ。

後は灰原哀が解毒薬を完成させれば、元の生活に戻れるはずだった。

ところが────

高三の夏休みの真っ最中、毛利蘭が何者かに拉致されたのだ。

蘭を救うべく、コナンは東都の街を駆けずり回る。
もちろん警察も毛利小五郎も蘭の行方を必死に探した。
安室透にも協力を仰いだ。

街中を捜しまわる間にコナンはあることを疑い始める。
蘭の行方不明に黒の組織が関わっているのではないかと……。

組織は崩壊したはずなのに、いったいどういうことなんだ?

いや、組織は崩壊したが関わった全員がこの世界から消えたわけじゃない。

黒の組織の残党に工藤新一に対する報復の指示が出ていたのだ。
工藤新一をおびき寄せるために彼の最愛の人、毛利蘭は拉致されてしまった。

そうして、届いた工藤新一宛の一通のメール。

それが罠だと知りながら、哀にも安室にも誰にも内緒でコナンは指定された場所に乗り込んでいく。

そこでコナンが見たものは真っ赤な血の海。
床が大量の血で赤く染まっている。
それは黒ずんだ赤褐色の塊りからまだドロッと真新しそうな朱色まで……。

その建物では組織を裏切った連中の処刑が行われていたのだ。
あちこち無造作にゴロゴロと転がった死体。
若い女性の首から吹き上がった血が赤黒い水たまりを作っている。
制服を着た警察官もいる。

コナンの全身に怒りと戦慄が走る。

そのままコナンは刑事らしき男が握っていた拳銃を拾いあげる。
赤い血に染まった拳銃。
銃弾を確認すれば、三発残っている。

コナンは蘭を必ず救うと決意を込めて小さな手で拳銃を握り締めた。

更新日:2018-12-28 22:46:36

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