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【後日談】バーロー、俺の手を離すなよ。

バンッ!

今日もまた歩美がコナンの机を叩いている。
コナンが胸の前で腕を組みながら黙って話を聞いている。

「コナン君、いったいどうなってるの! 説明してよ。
あんなにカッコ良く、哀ちゃんは誰にも渡さないって言ったじゃない?」

歩美が再び机をバンッと両手で叩く。

(仕方ねーじゃんか……)

はぁとコナンが心のうちで深いため息をつく。

「哀ちゃん、今週の土曜日、鬼月君とデートするんだって!
鬼月君、灰原さんと初デートだってみんなに言いふらしてるよ。
コナン君、このまま黙っていていいの?」

(いいもわりぃも……俺、負けちまったんだから)

そうだ。
コナンは勝負に負けたのだ。
哀には「期待はずれだったわね」と失望されて、歩美からはこうやって問い詰められている。

(ったく、服部、あれのどこが秘策だよ!)

コナンは服部に特訓を頼み込む。

なんとか仕事の合間をぬって服部が稽古をつけてくれたが……。

「工藤、剣の道は一日してならずや」
「わかってるけどよ、そこを何とかしてくれよー」

相手は五歳から剣道を習っている。

「無理や!」
「おい!」

「せやけど、世の中には奇跡ちゅう言葉もあるし、諦めることはあらへん。
とにかく相手に隙を作らせることや。俺に任せろ」

「何か秘策があるのか?」

「せや! ええか、工藤…………」

服部が授けた秘策とは────

『相手はまだ中学生や。中学生なんてのは単純やから難しい手は考えんと、
ここは格好だけでもお前ができるつーことを見せるんや。
「こいつ、やるやん!」と相手に思わさせたらこっちの勝ちや。
相手が怯んだ隙を狙えばええんや!』

「そんな手で上手くいのかよ」と半信半疑ながらも服部の秘策に乗ることにした。

更新日:2018-12-28 22:50:04

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