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罪の代償

あの優男は黒の組織のメンバーでも何でもなかった。
凶悪殺人鬼、廃墟の病院で発見された御遺体は全部で12体。
すべてあの男ひとりによって殺害されていた。

男はニュースやネットの情報を見るうちに黒の組織に傾倒し、ボスに過大な妄想を抱き、
黒の組織の幹部になりきったつもりで殺人を繰り返していたのだ。

しかし、驚くべきことは黒の組織崩壊に対する復讐、処刑リストなるものが闇サイトに出回っていたことだ。
復讐リストは死んだ優男のPCから発見された。
リストは本物だった。

なぜならば、リストには宮野志保の名前がしっかりと記されていたからだ。

いつ誰がどんな目的でリストを作成し、ネットに流したのか……。
警察もその出所にはたどり着くことはできなかった。

一方、江戸川コナンはまだ幼い少年であることに加えて、人質を守るためにやむなく警察官の銃で発砲し、
相手を殺してしまったと正当防衛が認められ、安室透らの尽力であの場ににいた少年の存在は表に出ることはなかった。

人質の救出に駆けつけた警察官の手によって男は射殺されたと報道されたのだ。

蘭は叫び声をあげた直後に再び気を失ってしまい、首を切られた傷もたいしたことなく済んだのだが……
運ばれた病院のベッドの上で「新一が助けに来てくれた」としきりにうわ言を繰り返していた。

あの時、叫んだこともコナンが助けに来たことも蘭は覚えていなかった。

更新日:2018-12-28 22:48:59

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