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高校生最後の年。



私は1年の頃から続く生徒会役員と
女子寮の寮長を任されて
それなりに充実した忙しい毎日を送っていた。



みんなから頼りにされると
自分に存在価値があるようで
心地よかった。



生徒会長には桐谷修。
男子寮長には佐藤諒太郎。



そして、高校生になって
久し振りに再会した羽柴玲。



教室では玲と、寮では諒太郎と
生徒会では修と
いつでも幼なじみの誰かが一緒だった。



玲「愛乃、ちょっといいか?」



教室ではいつも一人で寡黙な玲が
珍しく話しかけてきた。



愛乃「玲。珍しいわね、教室で話しかけるなんて。」



玲「ああ。ちょっとな……」



玲が廊下をチラッと見たから
聞かれたくない話なんだろうと察して
教室の外に出た。



廊下では下校する生徒がチラホラといたけど
誰も私と玲が一緒にいることを
気にも留めてない。



たぶん。



私たち4人が幼馴染なのは
周知の事実だったから。



愛乃「なに?なにかあったの?」



玲「あのさ・・・・・寮にいる1年でるあっているだろ?」



愛乃「え?るあって・・・・南さんのこと?」



玲「そう、そいつ!」



愛乃「南さんがどうかした?」



玲は言いにくそうにしながら
ポケットに手を突っ込み
壁に寄り掛かった。



玲「俺の彼女なんだ・・・・・」



・・・・・・・・。



愛乃「・・・・・えーーーー!!!」



玲「うわっ!愛乃!しーっ!!」



私が叫びにも似た声をあげるから
玲が慌てて口を塞いだ。



玲「でっけーこえだすなよ(-_-;)」



愛乃「っはぁ・・・・ごめんごめん。ビックリしちゃって(笑)」



玲「っつーことなんで、今度門限よろしくな(笑)」



愛乃「そっちね(-_-;)はいはい(笑)」



玲が恋人を作るなんて
本当に久しぶりで
しかも、こうやって話してくれるなんて
今までなかったから本当に驚いた。



どうやら南さんは玲の中学の頃の後輩らしい。



ふーん。



まぁ、そこそこ可愛いし
大人しそうな子だし
いいんじゃない?



って、かなり上から目線だけど(笑)



ある日見た2人は
お互いを見つめ合って笑い
本当に幸せそうで
ちょっとだけ羨ましかった。











更新日:2019-01-17 08:44:13

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