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工藤新一の独白 その三

志保とは会えないまま蘭とも曖昧な日々が続く。

相棒関係にでも戻ったつもりなのか、志保からは事務的なメールだけが返ってくる。

一方、蘭の方は────

「ねぇ、新一、今夜は夕食をウチで食べて行かない?
今夜はお父さんがいないから、ゆっくりしていっても大丈夫だよ」

夕暮れ時、学校からの帰り道、生徒の姿がまばらになると蘭が俺の腕をつかむ。
空手部の部活が終わってもサッカー部が終わるまでいつも彼女が待っている。

『先に帰ってもいいぜ』

『ううん、いいよ、待ってる。
だって、クラスも別れちゃったし、学校の帰りくらいしか新一と話せる時間がないんだもん。
新一、いっつも忙しいってメールも電話もくれなくなっちゃったし……』

『それは……オメーとは毎日会ってるから』

『でも、メールの返事くらいくれてもいいんじゃない?
前はくれたじゃない!』

『あっ、わりぃ、忙しくて』

『ほらね、やっぱり忙しいって……。だから、新一の部活が終わるの待ってることにしたの。
じゃないと、新一、また事件事件って私のこと忘れちゃいそうだから!』

以前はこんなにべったりではなかったのだが……。

俺が距離を取ろうとすればするほど、彼女の方から近づいてくる。

これが女の勘っていうやつなのだろうか。

こんな風に腕を組んで歩けば、嫌でも目立つ。
チラチラと俺たち二人に寄せられる周囲の視線。

すでに俺たちは公認夫婦らしいが……。

更新日:2018-09-09 09:14:43

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