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 「睡眠障害ってのは、辛いんだってさ」、



じっと俺の眼を見ながら、そう言った春日

さんは、また味噌汁を飲んで



 「同じ大学の仲間って事だけじゃ無いん

でしょ?、彼とは?」、



 今度は、そこに箸をおいた。









 「・・・・」、



 言いたくても、言えない・・言えない様な

関係だったこと・・



 アイツが悩んで、独りで結論を出したのは

きっと、同じ会社で、こんな事を聞かれる日が

来ることをわかっていたから・・



 大学生活とは違う世界を



 一人先に、考えてしまったから



 何も考えずに、ただふたりでいられる事

ばかりを喜んでいた俺には、思いもよらなか

った事。







 「彼は、凄いね・・本当に君の事を大切に

思っていたからこその、辞退だったんだね」、





 今頃、そんなことに気が付いたのかと

春日さんの視線は冷たかった。



更新日:2018-09-06 13:10:18

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