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「もう終わりにしよう・・」、
そう言って、俺の手を離したあいつは
涙も見せずに笑って
「じゃあね・・」、
あっさりと背中を向けた。
卒業式の後の打ち上げで、結構な量の
酒が入っていたとはいえ
「うそだろ?・・」、
あの時の事は、鮮明に覚えている。
「明日からの休みは、少し遠出をしないか?」、
そう言って、飲み会の後、その手を引いて
俺の部屋に連れてくるつもりだった。
父さんから車も借りてあった。
部屋に着いたら、渡したい物もあったのに・・。
あいつは、振り返らなかった。
更新日:2018-09-06 13:04:24