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ショタごっこ

 「おねいたん」
時折、こんな甘えた声を出して隣の家の息子が私の部屋へ侵入してくる。
「わたしゃ、おまえの姉になった覚えはないが?」
冷たく言い放つと「グス」っと泣きそうな顔をしやがるわけだ。私がコイツのこれに弱いことを知っているくせに。
「あざといヤツ」
呟いた言葉に
「え?なに?聞こえない」
首をかしげる。随分と都合のいい耳だな!おい!

 「で?何がありましたか?」
私はわざとデスクに付いたまま、背中を向けて投げやりに言葉をかけた。
「辛いことがあった」
「ほーほー」
「僕、なにも悪いことしていないのに」
「具体的に!」
「それはいいよぅ・・・」
んだとこの野郎・・・プライバシーは守りますってか?おまえがその気なら私も意地悪になってやる。

 「そ?じゃあ、なにもアドバイスすることは出来ないわね。ごきげんよう~」
突き放して仕事の続きにかかった。

「えぐっ!ぐすっ!ふぇぇぇぇ・・・」

背中に感じる構ってオーラ。負けるもんか!!!!絶対!負けないんだから!!!!

「うううううう・・・グズグズグズ・・・・」

ええい・・・仕事に身が入らんっ!たまらず、こっそりそーっと振り返ってみると、ヤツは部屋の片隅で体操座りしてグズグズやっている。
「おふっ!!!」
思わず声が出そうになって慌てて口を押えた。

可愛い過ぎるやろがいっ!!!!!!!!!

「くっそ・・・」
口の中で小さく息を吐いて振り返り、ベッドへ腰掛けると
「はい。おいで」
両手を広げて見る。するとどうだろう。彼はパァァァァっと顔を輝かせて
「おねいたん!」
私の胸に飛び込んできた。子犬か!!!おまえは子犬か!!!!

鼻血が出そうなのを必死で堪えながら、後頭部をナデナデしてみる。
「くふふふ」
すると嬉しそうに胸に顔を埋めて
「だいすき」
呟いた。ウズウズする。色んな感情がウズウズする。なんか知らんが噴出しそうな色んなモノを「私は姉!私は姉!」と呪文を唱えることで本能を封じ込めてみる。

「ねえ、ギュウってして?」
でたっ!上目遣い攻撃。
「あ~はいはい。ギュウ~~~~~。これでよろしいか?」
「もっと!こうやって!ぎゅううううううううう」
と、今度はヤツが私を抱きしめて、そのままベッドへ押し倒してきた。
「どさくさに紛れて!」
「へへっ!だって、こっちのほうが抱きしめやすいんだもん。ね?もう一回、ギュウってして?」
ヤツの要望に、私は首に腕を回してぎゅうっと抱きしめた。計らずとも彼の顔を胸に埋める形となってしまった訳だけれども、これは結して故意ではなく。いや、本当に。本当だってば!彼が胸に顔を埋めて頭をスリスリしているけれども、これをやって欲しくてやったわけではなく。いや、マジでマジで。

私の中の理性と本能が、とっくみあい寸前の一触即発状態で睨みをきかせている。お願いだから勝ってくれよ!理性!私の理性!!!!

理性の軍配に多大なる声援を送っている私の必死。もう今にも切れそうな理性の綱。そんな私のこらえ性を試すような挑戦が太ももに感じる。

こ・・・これは・・・

勃っとるやないかーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

「ブチ・・・」
音を立てたね?蜘蛛の糸ほどに細くなった私の理性が音を上げた瞬間だった。

更新日:2018-08-06 01:13:57

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