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夢の中で

 レイクは一人でそこに横たわっていた。
 彼は目を覚ましていたが、戻っているはずの視力があまり利かなかった。もやもやとした目の前の映像を何とかしようと、手を出して霧を払いのけるような仕草をした。


 どこからか、人のしゃべる声がかすかに聞こえていた。
 少年はそちらの方へ顔を向けたが、やがて話し声が一つのモニター画面から聞こえているのが分かった。
 さらに視線を回していって、レイクは自分がいつもの実験室にいるのではない事を知った。







 そこはまるで、夏の間に人々が集まる別荘のような部屋だった。
 ログハウス調の太い木材が、天井や壁などにふんだんに使ってあった。
 それまでずっと無機質な実験室にいたレイクには、周りの物が余計にカラフルに見えた。あらゆる豊富な視覚情報が目に飛び込んできて、しばらくはそれを認識するだけで頭と目が疲れてしまった。
 木の梁が目立つ昔風の漆喰天井から視線を横に移すと、大きく開け放たれた窓に原色の派手な色合いのカーテンが揺らめていた。窓の先はバルコニーで、木製の広いテラスに出られるようだった。
 窓の木枠も床の板貼りも年代物の造りを感じさせたが、それは意識してそう作られているようだった。部屋全体で見れば、調度品も併せて全てが高級ホテルかと思えるほどの整い方をしていた。



 実際、その部屋の設備には高い金がかかっているようだった。
 視線を自分の寝ているベッドに向けた時、それをより実感する事が出来た。
 巨大な大理石で出来た支柱には天蓋が付いていて、薄い白色の幕が斜めにかけられていた。下のベッドはまるで中世の貴族が使っていそうな豪勢な代物だった。
 大人が四、五人は並んで眠れそうな超キングサイズで、ベッド自体も大理石のすべすべした素材で作られていた。ヘッドボードには唐草模様の透かし彫りがしてあって、美しいデザインの台座には白いマットレスと薄い青地のシーツが掛けられていた。
 広々とした部屋のあちこちには高そうなマホガニー製の家具が置かれ、その下にはこれまた高そうなペルシア絨毯が敷かれていた。

更新日:2018-08-11 22:32:08

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ORIGIN180E L.A.編 4