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小説

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26・   トイレから出たら新人のお疲れ様(1998)〜

挿絵 800*647

26・   トイレから出たら新人の「お疲れ様!」
        (といれからでたら しんじんの おつかれさま)

 新入社員が集められて研修を受けている。緊張感の乏しい大柄の男女が休憩時間に通路に溢れている。50人くらいが先輩社員から教育を受けている。会社生活のイロハを教え込まれている。

 先輩に対する挨拶はいつも「おつかれさま」にしなさいと。枕流がトイレから出てきたら早速、「おつかれさま」の挨拶を受けた。全く疲れていないのに。そしてまだ元気な午前中に通路で何度も。これには疲れてしまった。
「お疲れ様を避ける通路でオツカレサマ」

 (1998・4・16、大阪・梅田のビル内)



27・   平城京の雲雀の子孫古代色
        (へいじょうきょうの ひばりのしそん こだいいろ)

 奈良時代の人が歩いた石畳が目の前にある。その近くの草の茂みに急降下する雲雀は古代人が見た雲雀と同じなのだろう。ひばりはすっかり古代色を身につけていた。近くに朱雀門が見えている。



28・   爺ちゃんつかまってててや三輪の孫
        (じいちゃん つかまってててや さんりんのまご)

 太陽が道の路面を温めている午前中、三輪車に乗った子供が祖父と思われる人と一緒に街中散歩だ。おじいちゃんんは心配になって三輪車の後から付いてゆく。
 子供はじいちゃんが心配になって、後ろに声をかけている。

(1998・5・10、大阪の東三国駅の近く)



29・   サラリーマンになりきれと息子が父に
        (サラリーマンになりきれと こがちちに)

 妻に話していたことが高校生の息子に伝わったらしい。息子から夜に電話が来た。ひび割れた手で受話器を取った。息子には高校生になりきれと言った。52歳の時のことであった。



30・   怒り声、閉まった電車に乗らないで
        (いかりごえ しまったでんしゃに のらないで)

 最も率直なアナウンスだ。いつもドアが閉まる直前に客が体をドアにすべリ込ませる。電車の車掌は毎日のイライラが募っているようだ。とうとう叫んでしまった。そして閉まった電車とは言いすぎと反省。しまった、しまったと反省したことだろう。

 このアナウンスを聞いた客なのであろう、一部の乗客は悪質レベルをあげたようだ。紐の先のバッグを閉まる直前のドアの中に投げ込んで、電車と十メートルほど並走するのだ。車掌がホームを走る人を見つけることに期待する新たなゲームなのである。

 ここで最新ニュースを紹介(2018・7・28)。JR東日本はホームで流れる発車チャイムを廃止する方向でテストに入った。階段付近でこのメロディを聴いた人はドアに向かって走りたくなるとの分析結果に基づくものだと言う。

 枕流の分析は、駆け込み乗車は通勤時間帯の車両混雑をゲームとして楽しんでいると考えている。無意識の抗議の態度であるとみている。したがって車内アナウンスではこう言うべきである。「駆け込みゲームは家で楽しんで下さい。」

更新日:2018-08-08 11:50:10