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小説

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151・   息荒く新興中学「新松戸北」(2003)〜

挿絵 800*561

151・   息荒く新興中学「新松戸北」
         (いきあらく しんこうちゅうがく しんまつどきた)

 何の運動部なのかわからなかったが、トレーニングウェアを着た元気のいい中学生グループに出会った。薄い水色のウェアには「新松戸北」の文字が縫い付けられていた。人口増加の著しい新興住宅地にある中学校なのであろう。街そのものの勢いなのであろう。

 (2003・8・25、JR柏駅)



152・   曇り空に火星はあそこ親子星
         (くもりぞらに かせいはあそこ おやこぼし)

 近所の大規模マンションの玄関で、帰って着た父親に子供がさっきまで見えていた火星の場所を教えている。その子の父親は、雲の中に潜んでいる火星を一緒に探している。
 我が家の小さな玄関を押して入ると、妻は火星が見えたのだと興奮気味に話し出した。私は冷蔵庫の中に隠れている缶ビールを探し出すのに成功した。

 (2003・8・27、さいたま市)



153・   サッと出し早撃ち携帯猛練習
         (さっとだし はやうちけいたい もうれんしゅう)

 西部劇のガンマンは荒野で早撃ちの練習をする。ところが最近の早撃ちマンは電車の中。腰のポケットから折りたたみ携帯を取り出し、広げてオンにし、電話番号を打ち込む。次にオフにして二つに折ってもとに戻す。この動作を何度も目の前で繰り返している。練習が終わったのか、電車のドアが開くとサッと姿を消した。かっこよかった。テレビ西部劇「ララミー牧場」の早撃ちシーンを思い出した。

 (2003・9・1、さいたま市)



154・   あっちいけそこを動くな缶オロロ
         (あっちいけ そこをうごくな かんおろろ)
 
 電車内に置き去りにされた飲料缶の空き缶。電車の動きに合わせて移動している。その缶は若い男に蹴飛ばされてから今の流浪の旅が続いている。
 自分の座席、足元に来ないように祈る人たちの念力を受けて、その缶はボコボコになった。
 
 (2003・9・2、JR吉川駅付近)



155・   パラという雨パラパラ開く梅雨の傘
         (ぱらというおと ぱらぱらひらく つゆのかさ)

 帰宅の会社バスが柏駅についたときには、ほとんど梅雨の雨は上がっていた。停留所でバスのドアが開いて社員たちは降りてゆくが、路面でぱらと雨音がしたのか、いくつかの傘が開いた。
 この句は、辻征夫の句にある「つという雨ゆという雨ぽつりぽつり」(つ、ゆに点が付く)という楽しい俳句がもとになっている。掲句は豪雨のようにあという間にできた。

 (2003・9・4、柏駅前)

更新日:2018-08-17 08:35:13