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小説

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挿絵 429*345

 REIKO作 「漱石先生に乾杯」

56・   漱石の知らない弟子は砂崎枕流
        (そうせきの しらないでしは さざきちんりゅう)

 痔疾の治療に有馬にやってきた。秀吉がよく通ったという赤湯は有名で、痔に効きそうだ。漱石も若い時から時に悩まされ続けていた。よし弟子になろう。痔つながりの弟子である。この時、正式に砂崎枕流が誕生した。「枕流漱石」の熟語の中で残されていた枕流を勝手にもらって俳号にした。

 ちなみに痔になった訳は、クロレラの調理の高温下での変色防止の研究をしている時に、味の素の成分を使って変色防止の実験をしていたことが関係していた。変色しないクロレラの味の変化を自分で確かめるために、独身の部屋で食事の材料にして試していたのだ。

 (2000・10・28、兵庫県有馬温泉)




57・   漱石が泳いだ岩風呂道後どこ
        (そうせきが およいだいわぶろ どうごどこ)

 漱石先生が若い時に子規と一緒に入った風呂に、弟子の枕流も入ってみた。広い湯槽で漱石先生と子規は一緒に泳いだのであろう。

 弟子の枕流は風呂の中にお盆を浮かべて先生に一杯献上したいところである。

 (2001・2・10、松山市道後温泉)




58・   階段を選ぶ女の春弾む
        (かいだんを えらぶおんなの はるはずむ)

 メタル調のエスカレータを選ぶか薄暗い階段を選ぶかは、ある種人生の分岐点である。特に女性は無理をしても階段を上るべきであろう。枕流がこう願うまでもなく、尻を強化したい女性と尻に十分な自信を持っている女性は、軽やかに階段を登って行く。

(2001・4・2、大阪梅田駅のホーム)




59・   花騒ぎ子を一喝 朝驟雨
        (はなさわぎごを いっかつ あさしゅうう)

 近くの専門学校の生徒たちは、眼下にある狭い公園の桜が大好きなのだ。しかし、朝方になると女性たちの声は雨音に変わっていた。春の訪れを喜んでいた生徒たちの声はかき消された。未明のミニ天安門事件。

 (2001・4・13、大阪東三国)



60・   篠藪の甘くささやく枯葉ベッド
        (しのやぶの あまくささやく かれべっど)

 幼年時に山の篠藪に潜り込んで、木の葉と篠の葉が落ちて積み重なっているところで転がって遊んだ。枯れ葉の擦れる音と仲間のしゃべる声が篠藪のトンネル内に響いた。人の声は風が藪の上を吹き抜ける音なのか。

 50歳になって大阪の雑木林に潜り込んで寝そべってみると子供の頃の楽しみが蘇ってきた。大人になった枕流はミニワインボトルを持ち込んでいた。

 (2001・4・14、大阪府川西市の雑木林)




更新日:2018-08-04 07:33:48