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小説

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51・   新種かも図鑑で調べるアオスジアゲハ(2000)〜

51・   新種かも図鑑で調べるアオスジアゲハ
        (しんしゅかも ずかんでしらべる・・・・・・)
 
 深い青色の羽に濃紺の筋が入った大きなアゲハ蝶が万博公園の丘の茂みの上で舞っていた。昔昆虫少年であったことを思い出しながら園内の図書室に飛び込んだ。そして図鑑でその蝶を調べた。
 係員の話では、この蝶を見かけた人は皆、青筋を立ててこの部屋にやってくるのだという。

 (2000・8・4、大阪千里万博公園)




52・   挑戦者「ポイ捨て禁止」にポイ置き缶
        (ちょうせんしゃ ぽいすてきんしに ぽいおきかん)

 ポイ捨てすると缶やボトルは横に寝てしまっているのが普通だ。ところがユーモアのある若者は 駅の階段に空の飲料缶をきちんと並べて置いて行く。マンションの玄関の外にも缶が立てて置かれている。
 これを見たユーモアのある老人は頭を横にして置かれた缶を見ようとしていた。だが缶は立ったままで横にならない。変だという顔をした。

 (2000・9・29、さいたま市)



53・   根比べサギと釣り人川面見る
        (こんくらべ さぎとつりびと かわもみる)

 お互い川に魚の姿が見えるのを確認している。サギは両足を水につけて魚が足元に近づいてくるのをじっと知らん顔して待っている。釣り人はサギに対抗して意地になっている。竿を上げないでじっと魚の当たりを待っている。
 お互いに動かない。私はとうとう動き出した。飲み屋を探しに腰を上げた。店で酢漬けのワカサギがくるのを待つことにした。

 (2000・10・21、兵庫県武庫川の川べり)




54・   鳥瞰の紅葉に歓声赤子泣く
        (ちょうかんの もみじにかんせい あかごなく)

 六甲山麓の紅葉をケーブルカーで空の上から眺めた景気は見事の一語に尽きた。大人たちは分厚いガラス窓に顔をつけて眼下を見下ろし始めた。ケーブルカーの揺れも手伝って、次第に小学生のような歓声を上げながら食い入るように下を見ている。

 この異様な空間の出現にベビーカーに乗っていた赤子は紅葉に負けじと真っ赤になって泣き出した。振り向いた大人たちは、泣く子の赤い顔に白い歯が似合うと言って、また歓声を上げた。

 (2000・10・22、六甲ケーブルカー)



55・   柿食えばガキの頃垣根で盗み食い
        (かきくえば がきのころかきねで ぬすみぐい)

 あの頃の田舎の子供はみんな、鳥だった。田舎では誰も鳥を追い払わず、柿は取り放題だった。どこにでも柿の木があったからだ。

 (2000・10・25、大阪東三国のアパート)



更新日:2018-08-08 11:51:25