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お客様はあの方です
ある日、天使が部屋に舞い降りた。助けてほしいと言ってきた。
「天国は地獄に負けました」
天国が悪魔の軍勢に乗っ取られたのだという。
「なんですって?」
信じられない思いで、問い返す。
「だって天国でしょ? 悪魔の前に鉄壁ではなかったのですか?」
「天使が腐ると悪魔になるのです。多くの天使が腐っていき、攻撃される前に内側から陥落した状態でした」
なんだかわからんが、防備の面で重大な手抜かりがあったらしい。
「それでどうするわけです」
「天上のわたしたちは地上に避難しなければなりません。わたしがお願いに来たのはそのためです。状況が好転するまで、ここにあずかって面倒見てほしいのです」
ぼくはむしろ、歓喜したい気分だった。こんな可愛い天使といっしょに暮らせるなんて、まさに天国が舞い降りてくるようだ。
「受け入れてくださいますね」
「よろこんで」
ところがである。
ぼくの家に割り当てられた避難者は――。
神様その方だった。
「世話になるぞ」
「………………」
一目見て、これじゃ人前に出せないと思った。
神様はそういう姿をしていた。
当分は、家の中でじっとしてもらわねば。神様なら辛抱できるだろう。
「天国は地獄に負けました」
天国が悪魔の軍勢に乗っ取られたのだという。
「なんですって?」
信じられない思いで、問い返す。
「だって天国でしょ? 悪魔の前に鉄壁ではなかったのですか?」
「天使が腐ると悪魔になるのです。多くの天使が腐っていき、攻撃される前に内側から陥落した状態でした」
なんだかわからんが、防備の面で重大な手抜かりがあったらしい。
「それでどうするわけです」
「天上のわたしたちは地上に避難しなければなりません。わたしがお願いに来たのはそのためです。状況が好転するまで、ここにあずかって面倒見てほしいのです」
ぼくはむしろ、歓喜したい気分だった。こんな可愛い天使といっしょに暮らせるなんて、まさに天国が舞い降りてくるようだ。
「受け入れてくださいますね」
「よろこんで」
ところがである。
ぼくの家に割り当てられた避難者は――。
神様その方だった。
「世話になるぞ」
「………………」
一目見て、これじゃ人前に出せないと思った。
神様はそういう姿をしていた。
当分は、家の中でじっとしてもらわねば。神様なら辛抱できるだろう。
更新日:2018-06-25 12:01:05