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カジマとして
レ「ア──────‥」
レイクは防音装置の施された特別室の中にいた。
彼は記録用の機械にしか聞こえない叫び声を、ずっと上げ続けていた。
レ「ア───ッ、ギャ───ッ、アアン」
少年に声を上げさせている相手の方も、また何も聞こえていない様子だった。
まるで夢を見ている時のように、その者の脳は耳から入る音を信号として処理しなかったのだ。
レ「やめて。助けて…!!」
レイクは自分がこれまで何度となく救いを求めてきた少年の名前を口に出せなかった。
彼はユースがこの研究所の作り出した兵器であると知らされたばかりだった。それを聞いた以上、敵方の相手から今までのような心の平安を得る事は出来なかった。
それでも頭の中では、レイクはずっとユースの事を考え続けていた。
あのホテルの一室で自分が相手に対して言った言葉に、いわれのない後悔の念を抱いていた。
───あの時、俺が「消えろ」なんて言わなかったら‥
もしあの時、素直にあいつと抱き合っていたら、事態はもっと全然別のものになっていたかもしれない‥
そんな考えはまるで根拠のない物だったが、レイクはどうしてもそう思わないではいられなかったのだ。
レイクの事を愛している、とユースは言った。たとえそれがその場の必然性から出た言葉だったとしても、周りの思惑など一切関係ない部分でお互いの気持ちは通じ合っていた。
だが今になって後悔してももう手遅れだった。ユースは機械のようにドッグに入れられて、人格改造されてしまうのだ。
それは彼が必要以上にレイクに傾倒していると、スミスに判断されたためだった。監視役の父ダグラスまでベッドに誘い、誘惑しかけた事も原因かも知れなかった。
恐らくドッグを出てきた時には、もはやレイクの知っているユース・ユーシャンは存在しないに違いなかった。
レイクは絶望的な面持ちで、こんな事を考えていた。
───それにしても‥嘘みたいだ。
俺たち幼なじみは集まると、いつも彼のことを“ロボットユース”なんて言ってからかってたのに。本当に人造人間だったなんて、冗談にもならない。そりゃ俺だって、反乱軍のロボットなのかもしれないけど。
レイクは防音装置の施された特別室の中にいた。
彼は記録用の機械にしか聞こえない叫び声を、ずっと上げ続けていた。
レ「ア───ッ、ギャ───ッ、アアン」
少年に声を上げさせている相手の方も、また何も聞こえていない様子だった。
まるで夢を見ている時のように、その者の脳は耳から入る音を信号として処理しなかったのだ。
レ「やめて。助けて…!!」
レイクは自分がこれまで何度となく救いを求めてきた少年の名前を口に出せなかった。
彼はユースがこの研究所の作り出した兵器であると知らされたばかりだった。それを聞いた以上、敵方の相手から今までのような心の平安を得る事は出来なかった。
それでも頭の中では、レイクはずっとユースの事を考え続けていた。
あのホテルの一室で自分が相手に対して言った言葉に、いわれのない後悔の念を抱いていた。
───あの時、俺が「消えろ」なんて言わなかったら‥
もしあの時、素直にあいつと抱き合っていたら、事態はもっと全然別のものになっていたかもしれない‥
そんな考えはまるで根拠のない物だったが、レイクはどうしてもそう思わないではいられなかったのだ。
レイクの事を愛している、とユースは言った。たとえそれがその場の必然性から出た言葉だったとしても、周りの思惑など一切関係ない部分でお互いの気持ちは通じ合っていた。
だが今になって後悔してももう手遅れだった。ユースは機械のようにドッグに入れられて、人格改造されてしまうのだ。
それは彼が必要以上にレイクに傾倒していると、スミスに判断されたためだった。監視役の父ダグラスまでベッドに誘い、誘惑しかけた事も原因かも知れなかった。
恐らくドッグを出てきた時には、もはやレイクの知っているユース・ユーシャンは存在しないに違いなかった。
レイクは絶望的な面持ちで、こんな事を考えていた。
───それにしても‥嘘みたいだ。
俺たち幼なじみは集まると、いつも彼のことを“ロボットユース”なんて言ってからかってたのに。本当に人造人間だったなんて、冗談にもならない。そりゃ俺だって、反乱軍のロボットなのかもしれないけど。
更新日:2018-06-27 15:57:49