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リュース公の湖畔の城・・アルテイシア姫との出会い

ある時に エリンシアは 黒の王に許しを得たリュース公に
乞われて そのリュース公の湖の中にある居城に訪れた

「よく来られましたエリンシア姫」

「ご無沙汰しましたリュース公様」

リュース公の傍には少女が一人

「娘のアルテシイアです」

長く美しい流れるよな黒髪
やや吊り上がったアーモンド型の大きな瞳

美しい少女・・

後に 戦姫・・黒の王、火竜王(サラマンデイア)になる
アーシュランの
片腕・・女将軍となるアルテイシア

水と風の属性と守護を生まれながらに持ち
特に水の魔法に長けていたゆえに 
のちに黒の国の水の竜の王の加護を手に入れる

水竜の女王 そう呼ばれる事も・・

そうして・・
白の国から処刑されようとして逃げ出したアーシュランを助けるのも
彼女の宿命、運命・・。

「母親は 私の護衛の女騎士だったもの・・
数年前に ちょっとした小競り合いの戦で毒矢を受け 
あえなく亡くなってしましましたが・・」

大事そうにアルテシアの頭を撫でる

アルテシアは エリンシアに顔を向けて

「はじめましてアルテイア姫様」

少女はニコリと笑い 話しかけた


「はじめましてエリンシア姫様

姫様はあの羽琴の名手だとか・・今宵の宴を楽しみにしてます」

「はい 姫様」

リュース公の城は 湖畔に浮かぶ美しい城・・

水竜が大きな水音を立てて泳いでいるのが 
バルコニーからもよく見える

宴は多くのリュース公の縁りの者達や友人の貴族などが集まり
エリンシアが思っていた以上に 華やかで賑やかであった

一人娘・・未来の女侯爵は 利発で活発
多くの大人相手に 物おじもせずに会話を楽しんでいる

宴のご馳走は 湖畔でとれた魚やこの地 地元の果実に 
鴨などの肉料理
それに白の国の食材を使った白の国の料理・・。

リュース公が少し離れた場所に一人立っていたエリンシアに
近づき話しかけてきた

「どうぞ 楽しんで下さい エリンシア姫
・・そうそう・・ちょっとした昔話などでもよいですか?」

「はい・・」
エリンシアは 美丈夫で金の髪のリュース公に答える

「実のところ 私は白の国の血が濃くでて、子供の頃は
両生体だったのですよ・・。」

「そうなんですの?リュース公様」驚くエリンシア

確かに 白の国の者は 2人に1人が両生体で生まれる・・
この方も・・とは

「20歳上の兄がいたので、私は女性になるように勧められて 
よくドレスも纏ったものです・・」

この美しい顔立ち 美しい金の髪に青の瞳
すらっとした身体・・
さぞや 美しい少女の姿だったのだろう・・。

「一時は 当時まだ王子だった 黒の王に乞われて 
側室候補にもなった事もありましたね」

「彼とは 一時 恋人同士だったことも・・」

含み笑い・・それから
肩をすくめて 続けて話を続ける

「なにせ 大貴族とはいえ多くの白の国の血を引くリュース家・・
この黒の国では 微妙な立場でね・流石に
黒の王妃候補にはなれませんでした・・・」

「残念ながら10歳年上の兄が先の戦いで死んでしまったので 
私は男性の性を選び、このリュース家を継ぎました。」

戦の間も白の国と親交もある 間を取り持ち 
最初の使節の役目はリュース家の者が
選ばれるが・・

よくよく 黒の国には使い捨てにされて 
その上 時の白の宗主が気の荒い者だった時に 
使節の者が処刑された事も・・」

「エリンシア姫・・貴方も よく気をつけられる事です・・
貴方は優しい大変良い方だ・・

黒の王にも黒の王妃達にも 彼らは貴方を気にいっている
黒の王女テインタル姫も貴方を慕ってると聞いてます・・
ですが・・」

エリンシアの瞳をじっと見つめて
声をひそめて話をする

「エリンシア姫・・黒の王と深い関係を持ちましたね・・
黒の王 本人から聞きました 何かあれば 昔のよしみで 
庇って欲しいと頼まれました・・。」

「本来は優しい気性の黒の王妃アリアン様・・だが・・しかし
事が 黒の王との事になると また別だ・・

あの方は 黒の王を愛しすぎている・・そう狂った程にね
そう・・狂ってる・・」

更新日:2018-05-11 10:23:22

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