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第2話 強襲!蒼いモビルスーツ

 …「希望の星」内部は、いつになく慌しかった。

 それもそのはず…先に帰還を果たした「馬の蹄」部隊、
 アドル・トリスナーダたちの後を、ラ・ムエスが追って
 きたのである。
 そんな中、「Peace Revive」の代表、リムル・イムホープの
 私室に、執事のエイト・ユアンなど主な者たちが集まって
 いた。

  「お嬢様、とりあえず編成できるだけのモビルスーツ部隊は
  手配致しましたが…これでは…」

 老齢の執事は、そこで言葉を詰まらせ、ハンカチを取り出し
 軽く頬を拭った。
 彼の目の前にいるリムルも、突然のこの事態に、やはり動揺を
 隠せなかった。

 …無理もない。
 それは突然の襲撃だったからだ。
 また、先の戦争から地球連邦軍とジオンのあいだには、
 終戦協定が結ばれている。
 リムルら「Peace Revive」のその存在はともかく、ここで
 一戦交えてしまっては、ジオンが戦争のための新たな火種を
 発見し、そこでそれを鎮火するために戦った…という口実を
 作ってしまうことになる。
 さらに彼女らの存在が公になると、それこそ厄介なことにも
 なりかねない。

 エイトはふと背後をみやった。
 そこには、事務官のラウマ・デヴの姿もあった。

  「私は今回の件については、あまり気が進みませんが…」

 事務方の意見とはいえ…確かにその通りである。
 …だが、Peace Reviveもまた、真の平和を再生せんがために、
 その大義名分を掲げ、隠密といえども、その活動を行っている。
 だが…彼らが「戦う」ということは、ある意味「戦争」を意味する
 ものだ。
 そして、先に結ばれたその協定を破るということになる。
 たとえ自分たちが、どんな存在であっても…だ。
 それは、戦争に巻き込まれ、犠牲となった多くの人々を裏切る
 結果となるのだ。

  「それにしても…彼(※ラ・ムエスのこと)は一体、
  何のために…?」

 追ってきたということは、それなりに何か理由があるはずで
 ある。
 だが、いまのところ、それはまだ不明のままであった…。

更新日:2018-05-31 09:38:14

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