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プロローグ ※予告

 …「サイド7」より少し離れた宙域を、ゆっくりと浮遊する小惑星
 があった…。

 かつて一年戦争の際、各コロニーの周辺には、幾つもの
 小惑星が存在したといわれている。
 それは月の軌道上に乗せられたもの、また、かつてのコロニー
 付近に存在するもの、様々であった。
 それらの小惑星は、先の戦争で使用された地球連邦軍の
 前線基地であったり、或いは…ジオンの要塞であったとも
 いわれている…。



  「…『希望の星』、まもなくステルス解除」
  「うむ。このまま合流、着艦する。周辺の索敵、怠るなよ」

 馬が脚を突き出したような形状の一隻の戦艦が漆黒の闇を
 航行していた。
 …その艦首にあたる部分が、まるで馬の「蹄」のようにみえる。

 その艦の艦長、アドル・トリスナーダは、ふと前方に目を
 凝らした。
 すると…目の前に、うっすらと何かが浮かび上がるように、
 一つの岩塊が姿を現した。
 その岩肌に、次々と宝石をちりばめたような光が灯り、
 不思議な光景を創りだす。
 …さながらそれは、まるで「宇宙要塞」のそれであった。

  (こちら「希望の星」。…「馬の蹄」、着艦を許可する)

 その小惑星からと思われる通信が入ってきた。
 同時にそこから数機のモビルスーツが飛び出し、その艦を
 取り巻くように静止した。
 連邦軍の量産型モビルスーツ…「RGM-79」・「ジム」をはじめ、
 地上で活躍した、別のモビルスーツの姿もあった。
 それは…宇宙戦用に改良が加えられたものであった。

  「…ようやく着いたか…」

 アドルのそばにいた老齢の男性が呟いた。
 しかし…。
 彼のその顔は、どこか緊張感に包まれていた。
 そこに長い旅から帰還した喜び、安堵感などは一切感じられ
 なかった…。

更新日:2018-05-09 09:13:36

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