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紗世の思い出

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<紗世の思い出>
ピアノとバイオリンを習いだしたのは、小学生の時からで、バイオリンは中学生になってからでした。高校は男女共学の進学校だったので、紗世は、勉強に励んで、この大学に現役合格でしたのでした。誰が見ても可憐だけど、ダサい子だった平井沙世です。オーケストラ部に入ったのは、もちろん音楽が好きだからです。もう19歳になっていた一年生の夏、京都の北山の奥のほうで合宿があって、まだ学部の学生だった向井洋一と懇意になったのです。三泊四日の合宿がおわり、秋になるころ、コンサートホールで著名なバイオリニストのリサイタルがあって、洋一に誘われた。これが二人だけになった最初です。べつに手を握り合うほどに近かったわけでもなかったから、ほのかな好きさ気持ちを抱いたまま、紗世は、次に洋一から誘われるまでの二か月間、そのままでした。それから二か月、季節は秋、11月になっていました。嵐山の紅葉を見に行こうと、紗世が誘われます。
「ううん、平井さん、ぼくは、もう卒業だけど、院へいくから」
渡月橋が見えるベンチに座って、ちょっと寒い風が吹くなかで、洋一が言ったのです。
「オーケストラには残るから、紗世さんとも、会えるとおもうんだけど」
なんだか歯切れのわるい言い方で、紗世、ベンチに座ったところで手を握られたのです。あっ、と思った紗世。男の人から手を握られたこと、初めてだったのです。男の人は憧れのなかの存在で、恋の対象としてあったけれど、具体的な彼としての男子は、この大学の、先輩、洋一が初めてでした。
「はぁあ、ああっ、せんぱいぃ、ああっ」
キッスされたのは、それから二か月も経ってからでした。お正月がおわり、学校が休みになって、オーケストラ部の活動も小休止していたころです。もう夕方には暗くなっていて、鴨川の堤にも寒くて座っていられないのに、紗世は洋一と並んで座っていて、抱擁され、キッスされたのです。
「ごめん、いやになった?」
「うううん、せんぱい、いやじゃない、せんぱい」
紗世は、ひとりでいるとき、オナニーをしていました。お道具を使うことは恥ずかしかったから手元にないんだけど、手淫です。からだが火照ってくるときがあって、いつ覚えたのか、中学生のころには、やっていたんです。高校生の頃は、相手がいる子はセックスしたという友だちもいたけど、紗世には彼氏ができなかったから、体験もなく、オナニーをして、性欲を満たしていたというのが本音です。紗世が処女を先輩の洋一にあげるのは、それからしばらくして、洋一が大学を卒業する三月のことでした。

更新日:2018-03-16 16:17:33

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