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そこまでしゃべってから、レイクは怒り心頭したように立ち上がった。
少年がドアに向かって歩いていくのを見て、ダグラスが慌てて追いかけた。
ダ「待て。ユースを放っといてやってくれ」
出口の所でレイクに追いつくと、ダグラスは少年の腕を取った。
レ「俺は自分の部屋へ帰るだけだ。離してくれ」
ダグラスはその言葉を聞かず、少年を近くの衣装部屋の中へ閉じ込めるように押し込んだ。
それはドアの近くにあり、横に開くと戸が二つに折れ曲がるタイプの作りだった。中は縦に一メートル、横に二メートルぐらいの広さがあり、人間二人ぐらいは楽に入れるようなウォークインクローゼットになっていた。
レイクはそこに一人で放り込まれ、驚いてドアを叩き返した。
レ「何だよ、開けろ!ユースに会いに行ったりしないって言ってるだろ。混乱してるのか、おじさん」
返事はなく、真っ暗なタンスの中で少年はドア越しに相手に説明した。
レ「すぐにジョーンを起こして、俺はここから消えるよ。それでいいんだろ?」
空気抜きの穴は下の方にあったので、立っている目線から表は全く見えなかった。
扉を叩きながらレイクは何度も怒鳴ったが、そこは外側からダグラスに押さえられたまま、ビクともしなかった。
しばらくの間、横開き戸はそのままで時が過ぎた。
カギなど無いはずだったので、相手がすぐ外にいるのは分かっていた。だが何度呼び掛けても返事はなく、まるで誰もその場にいないような静寂が続いた。
少年がいい加減、腕が疲れてきた頃になって、ようやく扉が外側へ開いた。
戸に全体重をかけていたレイクは、いきなり開いた動きに合わせて外に躍り出た。咄嗟のことで歯止めが効かず、彼の体は扉のすぐ外にいた相手の胸に倒れかかった。
「開けろ」とわめきまくっていたレイクとは対照的に、ダグラスはとても静かな様子で、顔には悲しそうな表情をたたえていた。
ダ「レイク…」
彼はそれだけ言うと、少年を再び衣装室の中へ押し返した。そして自分も中へ入ると、その扉を内側から閉めてしまった。
更新日:2018-04-15 09:50:28