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テレフォンコール

 その晩、同じ部屋の隣同士のベッドに、レイクとジョーンはいた。

 すでにレイクは夕方シャワーを浴びていたので、そのままベッドに入り、今はジョーンがバスタブを使っていた。
 レイクはうつらうつらしながらも、まだ完全には眠らずに横になっていた。ジョーンのいる浴室から少しだけ水音が漏れていて、それが静かな部屋の中でバックグラウンドミュージックになっていた。




 そんな時、突然ベッド脇の電話が鳴った。
 ホテルのフロントからだろうか‥と不思議に思いながら、少年は起き上がってそれを取った。
 受話器から聞こえてきたのは電子合成された人工声で、何やらおかしな数字ばかりを唱えていた。

 警護員は部屋にかかる電話までチェックしているのか、不審なコールがきたのを知ったようだった。
 すぐに一人の隊員が部屋に入ってきて、無言でベッド近づいた。
 彼はレイクの代わりに受話器を取り、携帯の端末に電話を繋いでその発信源を調べ出した。
 声はずっと同じ数字を何度も繰り返していたが、やがて通話はひとりでに切れた。
 隊員は仲間に通じるワイヤレスマイクのような物を付けていて、それに向かって言った。
隊「切れた。発信元は探り出せなかった」


 少年がボンヤリと宙を見つめているので、隊員は注意を促すように話し掛けた。
隊「相手は誰です?心当たりはありますか」
レ「フロントじゃなかった。コメットからじゃないのか?」
隊「連絡は一切ないはずです。それにこんな通話の仕方はしません」
レ「じゃあユースかもしれない」
隊「内容は分かりますか?すぐに切れたので、途中までしか録音できてないんです」
 レイクは少し無言で考えていたが、やがて言った。
レ「‥857に来いって言った。誰の部屋だ?」
隊「ユースのです。やはり彼からですね」



 隊員の一人がその部屋へ行ってみたが、鍵がかかっていた。
 開けて入ってみても中に人はいなかった。もちろんユースはケント達とクラブに行っているので、いないのは当たり前だった。


 その報告を聞いて、レイクは言った。
レ「たぶん奴が帰ってきてからって事だろうな」






 ジョーンが風呂から出てくると、隊員は早速その旨を報告した。

更新日:2018-04-07 18:06:01

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