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ダ「お前と彼でゲームでもしてるのかい。やれやれ、最近の子供は大人をからかう遊びを楽しんでるのか」
ユ「あいつはちょっと変だって言ったでしょ。つい最近、脳の手術をしたばかりだ。誰だろうと見境なくベッドに誘う色情魔なんだ。だからあんなにお目付役が付いてきてるんだよ」
ダ「‥驚いたな。冗談じゃないのかい、ユース。あの子は男の子じゃないか。それにまだ十五だぞ。シャーロットとだって浮気できる年じゃない」
ユ「僕は誘われた。あいつにはちゃんとした男性の恋人だっている。どうセックスするかも知ってるよ」
 ダグラスは一瞬、言葉を失ってしまった。


 ユースは夕日を背にして立ち、表情の見えない顔を父親に向けていた。
 彼は話す内容に関わらず冷静さを保っていて、逆に会話を楽しんでいる所さえあった。それで最初、ダグラスは息子がレイクをダシにして冗談を言っていると思ったのだ。

 思わず椅子から立ち上がり、ダグラスは息子の近くへ歩いていった。
ダ「‥ユース、だからってお前。どういう事だ?僕には関係ないだろう。お前もあの子とは‥」
ユ「僕はいつも、あいつに一番近い所にいなきゃいけないんだ。どうしたって引きずり込まれる」
ダ「レイク君は…精神病か何かか?」
ユ「色情狂だと言ってるでしょ、しかも男専門だ。女性と関係を持った事はまだ一度もないはずだ」
ダ「待ちなさい、他人の事をそんなふうに言うもんじゃない。じゃあお前は何故、そんなになるまで彼を放っておいたりしたんだい。友達なんだろ」
ユ「友達だから、何?僕は彼に何でもあげなきゃならないの?」
ダ「ユース…」

 太陽の陰になった少年の目に、チラリと涙が浮かんでいるのが見えた。その事を、近くに寄って初めてダグラスは知った。
ユ「どうしようもない、僕は彼に捕まってる。‥あいつを愛してて、離れられない」



 ダグラス・ユーシャンは、そんな息子を前にしたまま沈黙した。
 彼は落ちる赤い夕陽を顔の全面に受けて、為すすべもなく立っているだけだった。

更新日:2018-03-30 14:17:30

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ORIGIN180E L.A.編 1