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父と息子

 レイクとユースが目を覚ましたのはちょうど同じ頃合で、午後三時近くだった。
 その頃にはユースの父親のダグラスが、ホテルに到着していた。

 ダグラス・ユーシャンは見た目とても若々しく、十代の新しい妻と一緒にいても違和感がなかった。息子とよく似た髪の色や体型をしていて、初対面のジョーンにも気さくな態度を見せ、いかにも好人物といった印象を受けた。
 この日彼は淡い灰色のワイシャツに、白っぽい夏用スーツの上下を着ていた。カリフォルニアの強い日差しの中を運転してきたためにサングラスをかけていたが、そのサングラスを外して見せた顔は、とてもハンサムだった。


 ジョーンは彼と一階のロビーで会い、隣に立つ妻を紹介された。
ダ「シャーロットです。今月の二日に結婚したばかりなんですよ」
 その女性はつばの広い帽子に、お腹周りが緩やかなサマードレスを着ていた。
 妊娠六カ月目のお腹が目立ち始めていたが、元々のスタイルは良さそうで、長い手足がスラリとそのドレスから伸びていた。癖のないまっすぐな鳶色の髪をタイトなショートカットにしていて、やや少年っぽい中性的な外見だった。

 自己紹介を済ませた後、ジョーンはここに来ていないレイクの事について説明した。
 するとシャーロットがうなずいて言った。
シ「ユース君の幼なじみのレイク君の話は、来る途中に聞きました。休みの間、私たち上手くやれるといいですね」
ジ「なるべくお邪魔にならないようにしますわ。ですからお気遣いなく」
シ「ダグは子供達をとても大事にしてるのよ。私もこの子が生まれたら、見習わなくっちゃ」
ジ「順調そうですね。私はレイクの主治医だから、困った事があったらいつでも言って下さいね」
ダ「ありがとう。ジョーンさんこそお気遣いなく。‥ところで、あなたはアメリカのご出身ですか?」
 しゃべり方のイントネーションで分かったらしく、ダグラスがそう尋ねた。
ジ「ええ、サンディエゴに親がいます。滞在の何日かは、そこへレイクを連れて行くつもりです」
シ「いい所ですよね。ここにいる間も楽しくしましょう、せっくのバカンスなんだから」

更新日:2018-03-30 09:53:20

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