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女神の糸車
運命の赤い糸は、蜘蛛の女神が紡ぎ出す。そんな噂を聞いた。
だから、蜘蛛に優しくすれば、女神様が恋の味方をしてくれるらしい。一番いいのは蜘蛛たちに女神様のところまで連れていってもらうこと。女神様は蜘蛛と人間の混ざった恐ろしい姿をしているけれど、その姿に怯えなければ、好きな人と運命の糸で結んでくれるそうだ。
それを信じている雛子は蜘蛛を見るたび捕まえて、間違って殺されないよう安全なところに逃がしている。
「ひな」
「うん、あそこなら大丈夫だと思う!」
虫嫌いなくせに。
「これで三郷先輩に一歩近づいて・・・ると、いいなあっ」
あはは、と笑う雛子。
「ふーみは好きな人いないの?」
「いるわ」
「じゃあふーみも蜘蛛の女神様にお願いしたら?しのちゃんも蜘蛛大事にしてたら逸見君と付き合えたんだって!」
誰だっけ、逸見って。私の知らない男子。正しく言えば、覚えていない男子、かしら。まあ、そんなことはどうでもいい。
「で、で!ふーみの好きな人って誰?」
「内緒」
言わないわ。絶対。
「えー、教えてよー」
「だーめ」
いいじゃんか、と笑う雛子。
よくないの。私が好きなのは、片思いしている男のためにくだらない迷信を信じてる、あなたなんだから。
いつか絶対聞き出すからね、と笑う雛子。
そのまま私の側で笑っていればいいのに。よく知っているわけでもない男に憧れるなんて、馬鹿みたい。でも、そういうところがたまらなく愛おしい。
だから、蜘蛛に優しくすれば、女神様が恋の味方をしてくれるらしい。一番いいのは蜘蛛たちに女神様のところまで連れていってもらうこと。女神様は蜘蛛と人間の混ざった恐ろしい姿をしているけれど、その姿に怯えなければ、好きな人と運命の糸で結んでくれるそうだ。
それを信じている雛子は蜘蛛を見るたび捕まえて、間違って殺されないよう安全なところに逃がしている。
「ひな」
「うん、あそこなら大丈夫だと思う!」
虫嫌いなくせに。
「これで三郷先輩に一歩近づいて・・・ると、いいなあっ」
あはは、と笑う雛子。
「ふーみは好きな人いないの?」
「いるわ」
「じゃあふーみも蜘蛛の女神様にお願いしたら?しのちゃんも蜘蛛大事にしてたら逸見君と付き合えたんだって!」
誰だっけ、逸見って。私の知らない男子。正しく言えば、覚えていない男子、かしら。まあ、そんなことはどうでもいい。
「で、で!ふーみの好きな人って誰?」
「内緒」
言わないわ。絶対。
「えー、教えてよー」
「だーめ」
いいじゃんか、と笑う雛子。
よくないの。私が好きなのは、片思いしている男のためにくだらない迷信を信じてる、あなたなんだから。
いつか絶対聞き出すからね、と笑う雛子。
そのまま私の側で笑っていればいいのに。よく知っているわけでもない男に憧れるなんて、馬鹿みたい。でも、そういうところがたまらなく愛おしい。
更新日:2018-02-05 18:20:36