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ここは…いや、場所は研究所があった位置と変わっていないはずだから、果たしていつの時代にワープしたのだろうか。
周りの雰囲気から推察すると、相当な過去に遡ってしまったようだが。

遠くからいくつかの影が、こちらの様子をうかがっている…再び命の危険を感じながらも、私はその影たちに近づいていった…

彼ら、彼女らは、私がいた時代の人間と比べると明らかに知能程度が低く、未だ確立した言語も持っていなかったが、意思の疎通は問題なく行えているようで、何より敵対心が少ない非常に人懐っこい人種であった。
私は残った研究所跡に住みながら、彼らから定期的な食糧の供給を受けるようになり、私も彼らの仲間の病気を治療したりと、1年も経たないうちに私達のコミュニケーションは良好かつ確固なものとなっていった。

未来からやって来た私が過去の歴史に介入することの是非については非常に悩んだが、目の前で消えかけている命、それも救えるはずの命を放っておくことは、私には到底できなかった。

更新日:2018-02-07 20:36:35

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